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2019年5月30日木曜日

触っちゃダメ

盲人が植物を楽しむことは難しい。
やっぱり触ってみなくては様子が分からないから。

ッチンに置いてある四つの観葉植物達。
霧吹きで水をあげていたのにどうも葉っぱに元気がない。ヘルパーさんに相談したら、
水はあんまりあげたらダメで触ってもダメと言う。

ヘルパーさんはコップからザーッと水をかけて
傷んだ葉っぱをハサミで切り取った。

こっちのは、葉っぱも枯れ落ちて枝があるだけ。
もう死んじゃったんじゃないかと思ったら、
枝の先っちょを土の中にぎゅっと差し入れて、
ザッと水をかけた。

「触らないでね。触ったらダメ。
水はもうあげないでね。」

触ったらダメなのか…。

ちょっと私の返事が元気がなかったのか
「あ!ごめんなさいね!
触ったらダメなんて言っちゃってね。」 

ヘルパーさんに気をつかわせてしまった。

あれから3か月ほど。
ちょっと触ってみたら、
葉っぱがどれも元気で、
枝だけしか残っていなかった植物にも、
立派な葉っぱがくっついていた。
 

2019年5月24日金曜日

殺意

「渡れますよー!」

「あ!ありがとうございます!」

道路に踏み出して1歩2歩…
あ!?車がすぐそこ。
びっくりして後ろに下がった。

…危なかった。

地元の駅前の2車線の道路を渡ろうと、
こちら側で耳を澄ましていたら、
向こう側から男性の親切なはずの声がしたんだ。


あの声を信じて渡りだしたら、
絶対にひかれていたはず。

こんなことが過去にも何回かあった。

悪意はないと信じたいけれど。

悪質すぎるいたずらだ。

本当に怖かった。危なかった。

「渡れますよ!」の声には、
お礼は言っても絶対に信じてはだめ。

自分の耳で確かめなくちゃね。      

2019年5月22日水曜日

薔薇1

「いい香りでしょ?」

5月の代々木公園のバラ園は
いろんなバラたちが満開。

伴走者の人たちはバラが満開で綺麗ですよ。
っと、説明してくれる。

足を止めて、強めのそよ風が吹く中、
花壇の近くへ行ってバラをそっと触らせてもらう。

手の平2つ程もある大きなバラ。

真っ赤とか、真っ白とか。
こちらは小さめのバラ。
「恋心」「美智子プリンセス」
「ラベンダードリーム」
名前のプレートを読んで言ってくれる。

これはピンクとオレンジ。
これは紫と白。薄いピンク…。

「こんなに大きさも色も形も高さも違うのに、
みんなバラに見えるんですか?」

それが、どれもみんなちゃんと
バラに見えるんだそうだ。

そういうものなのかな?

まあ犬だって、
犬といっても大きさだって種類だって
吠え方だって色々あるんだから、
そんな感じなのかも。。 
 

2019年5月19日日曜日

お尻の匂い

「ウンチの拭き残しがあるって言われたんですけど。
かぶれの原因になるからって…」



盲人の新米ママさん。
生まれたての赤ちゃんのウンチは
ヨーグルトみたいな匂いだし、
指にくっ付いた感じも似ている。

さて30年前、
私はどんな風にしてたっけ??

そう、まずはティッシュでザッと拭いてから、
お湯で濯いだガーゼのハンカチで拭いて、
それから濡れているお尻を、
乾いた布オムツを当てて水分を取ってあげていた。

当時はまだ布のオムツ。

長四角と三角に折り畳んで
組み合わせたオムツを当てていた。
 
お尻周辺を良ーく触ってベタつきはないか?
洋服は汚れてないか?
その都度、良ーく触りまくっていた。

そして最後は鼻を近づけて、
クンクン匂いを嗅いでみる。

ウンチの匂いがするなあっと思って、
その辺りを触っていたら、
洋服に付いていたりしてね。

ついでに自分の鼻にもくっついちゃったりして。

でも拭き残しはしょうがないもんね。
 

2019年3月25日月曜日

賞味期限あったのかも

バンドエイドにも、
賞味期限があるのかもしれない。

乾燥肌の私。

また爪の脇のささくれがひっかっかて、
ズキズキしてきたんでバンドエイドを探していた。 


あったあったと見つけたそれは、
なんとなく外側の紙は湿気を含んでいるような、
シャキッと元気がなく、
いかにも古そうだったけれど、
とにかく紙を破いてフィルムを剥がして指につけた。 その

粘着がおかしい。


やたらベタベタしている。
粘着剤に納豆菌でも繁殖して
いたんじゃないかって思う。

指にぐるり巻いたテープ全体が
ベタベタでどうしようもない。

バンドエイド一つ一つにも
賞味期限なんてのが書いてあったのかもしれない。

あんまりひどいんでテープを
外してみたんだけれど、その粘着剤が
指にベタベタ残ってなかなか取れない。 

しかたないんで、セロテープを貼りつけておいた。
何とも適当な私。

2019年2月1日金曜日

お醤油をかける

たまにだけれど,
全盲の夫と二人して,
キッチンに立つことがある。
 

私『このボールの中にある
大根にお醤油とごま油いれてねえ』

「はいはい」と、調子良く作業をしていた。 

私はこちらで洗い物。 

『じゃあ大根サラダ、器に装ろうか』
と言ってみると。 
「おっかしいなあ、ボールのケツがべたつくなあ」 
流し台の上を触ってみると、
確かにヌルリ。
血のような感触。 
『何これぇ??』

ボールのお尻もべたべた。 

二人とも全盲だから 
触っている状態が何なのかが分からない。 

まずは原因究明だ。 
私は指を舐めてみた。 

・・・やっぱりしょっぱい。 

『これお醤油だよ』
最近流行りの。酸化しないと言う
お醤油ボトルからお醤油をだしていた。 

夫はボトルの脇腹を
勢い良くピューピュー押しまくっていたという。 

指で触ったんだけれど 
常温だからか、出ているかどうかが 
わからなかったから、何度も押したと言う。 

『ねえ、ピュって押したら、
勢いがつくんだから、大根にぶつかって
お醤油がハネるでしょう!? 
しかも何でこんなに流し台が濡れてるの? 
まさか、ピューピューしながら、
回すようにかけたんじゃあないでしょうね??
眼が見える気になって、そんなことするから
ボールの外側にかけていたんだよ。 
きっと、壁にだってはねているよぉ。 
こういうのは静かに押さなきゃいけないよ。』


昔は弱視で見えていたハズなのに 
盲人には「物体は動いている」と言う
空想する法則があるんじゃあないの?