ずーっと前、母から興味ぶかい話を聞いた。
母が若い頃、全部手作りで作った着物が2枚ある。
父と母のものだ。
ある日、だれから聞いたのか偉い大学の先生が尋ねてきたという。
その先生は 染め物の研究をされていて、
泥染めの方法を教えてほしいと言われ、母は全部してみせたんだという。
知り合いからまゆをもらってきて、
うちの鍋でまゆを煮て、
糸口をほぐしだして、
それを糸巻きにからげて、
それを山から持ってきた泥で煮て染めて、
そこまでを教えてやったんだと言う。
その良い泥がある山まで 先生の車で行ったんだそうだ。
先生はタッパにその泥をたくさんつめて持ってかえったとのこと。
大島紬に匹敵するほどの物だと言われたらしい。
母は自分でまゆを紡いで、機織り機で反物を織り、
着物は教えてもらいながら縫ったんだそうだ。
母は見よう見まねで着物を作りあげたそうだ。
いつだったか、夫と実家に行ったとき、
父の着物を夫に羽織らせ、
丈が短かかったので、ひどく残念がっていた。
私は母のがぴったりで
「いいがな いいがな」
と、言ってなかなか脱がしてはもらえなかった。
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