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2018年11月30日金曜日

丁度今時分

私は絶対絶対に嫌だった。

犬なんて大キライだ。

ちっとも可愛いなんて思ったことさえ無い。 

かぞ1対4の戦いだ。

パパと子供たち3人は、
2女が拾ってきた仔犬を 
飼いたいと譲らない。 

家だって建てたばかりで 
ひっかかれたりしたくないし、 
犬臭くなるし、
誰がお掃除するの?
お散歩だって、今は連れていく!
っと言っているけれど 
そのうち飽きてしまって 
どうせ私が行くようになるのは 
分かりきっていること。

洗濯やら掃除
今だって手に余っているのに…

子犬は産まれたばかりで 
片手にのる程の小さな子犬だった。 

抱いているいるパパの腕の中から 
ほっそりした尻尾が短く垂れ下っている。 

顔はパパの脇の下の中に突っ込んでいる。 

「だれか拾って下さい。って 
3匹の子犬が段ボール箱に入っていたんだよ。 
1番可愛いのを抱っこしてきたんだよ。 
かわいそうだよ。」 

可哀相可哀相っと言ったら
みんな可哀相になっちゃうじゃないの!
 
あの日から
キャンディーは19年近くも
我が家の一員となった。 

どこの犬を触らせてもらっても 
ちっともかわいいとは思えず。 

小さないぬだって抱っこすらしたくない。 

だけれど 
キャンディーはもう可愛くてたまらなかった。 
しかも優しくてお利口だった。 

1人で泣いていたりすると 
涙をペロペロとなめて慰めてくれたし、
こちらが暇とみればタオルをくわえて来て 
綱引きをせがんだりしていたっけ

丁度今時分。
柴犬みたいなキャンディーがやってきた季節だ。 

2018年11月28日水曜日

盲人の事務員

体育館中に響き渡るその声は 
柔らかく大人の女性って感じを
させている。
色っぽくて、落ち着いている。
すてきな声だった。 

私が学生時代…
昭和後期、先輩の盲人女性の講演を聞いた。 

電話交換手として
事務員の1人として
保険会社に勤め始めたとのこと。 

「仕事はいいですから、
ここに座っていてください。」

と言われて、1日中何もせずに
部屋の隅に座っていた日々が
随分と続きました。

周りの人たちは 
ひっきりなしに電話応対していますし、 
コピー機などの機械音が聞こえてくるばかりでした。 

来る日も来る日も座り続けていたんです。 
せっかく入社させてもらったのですから 
辞めるわけにはいかなかったんです。」

その先輩は淡々と、
それからのことを話してくれました。 

私が社会人になってから 
もう1人、おもちゃ会社に入社した
全盲の女性の話も聞くことができました。 
「デスクと椅子があるだけで 
仕事は無かったんです。 
”何か仕事させてください”と言っても、 
”まあ、座てて”と言われるばかりだったんです。 
だから、何か点字書いて 
仕事しているフリしていたんですよ。」 

想像するだけでも大変。
泣きたくなる。 
精神力。気力。情熱。
それらがあったって 
さぞかし辛い事だっただろう。
  
でも彼女たちは、辞めずに 
自分でできる仕事を見つけ 
提案していったんだそうだ。

それが少しずつ認めてもらえるようになっていった。 



すごい。

2018年11月2日金曜日

TOTO の抜け毛ボウル

一番嫌いな家事の中の一つが
排水溝のお掃除。

ずっとずっと前、
排水溝のゴミを取らないでいたら 
お風呂場の洗い場が水で溢れてしまって 
脱衣場の方まで流れ出てしまって 
大変なことになってしまった事がある。 

それ以来、まめに 
きれいにするようにしている。

何せうちは女の子が3人と私。
みんな長い髪だからよく抜ける。 

週にシャンプーボトル1本が空く。
排水溝の網にベッタリ張り付いた
髪の毛は気持ち悪いし、
汚いし、触りたくもない。

だけれど、そういう所の
お掃除はお母さんって決まっている。 

髪の毛に湯垢のヌルヌル…
煮こぼれの様な、コラーゲンの様な、
ヘドロがぐるりと、
くっ付いているから、
尚、嫌だった。


ところが今はすごいですよ。 
去年からTOTOのお風呂になったら 
び、っくり!!

排水溝の丸い網には 
ヘドロがつかず、
しかも、抜けた毛髪が 
ボウル上に真ん丸になってくれている。 

どんな訳なのか分からないけれど 
次の朝、ゴミ出しの時 
見てみれば、水分の無い、
真ん丸の髪の毛ボールが
クルッとそこにある。 

指で摘めば、 
ホイッと手の平に乗ってしまう。 


カゴを触ってみれば 
水気もとれていて 
ヌルヌルなんて無い。 

これは毎回の事。
どんな訳で抜け毛が 
こんな真ん丸ボウルになるんでしょうね。 

ちっとも汚く感じないのですよ。 
これも科学の力でしょうか?

2018年9月10日月曜日

お祓い

昨年の4月
ここ2丁目に引っ越してきて
1年と半になる。

引っ越してきてすぐ6月に
蒸したとうもろこしを
包丁で切っていた所
誤って左手の人差し指の腹を
ざっくりと切ってしまった。 

あっという間だったけれど
包丁の歯が指先の肉を
切っていく感触がはっきりと分かった

触角は皮膚面だけではなくて
筋肉の中にもあるっということが 
はっきりといえる。

ちょうど点字を読む所だったので不自由だった。 

すっかり治るまで
半年もかかってしまった。


そして11月
私はアイスコーヒーのグラスを
持ったまま階段から落っこちて
玄関の上り端に背中を打ち付けて 
割れたグラスの破片で
右前腕のなかほどを
これまたざっくりと切ってしまって

夜中、病院で12針も縫う
大けがをしてしまったんだ。 


で、今年に入って7月
キッチンの椅子を蹴飛ばして
足指の骨折をしてしまった。

以前の家
20年も住んでいたのに
そんな大きな怪我をしたこともなかったのに。

なんか大きな怪我
立て続けにしているから
この土地呪われているのかと
何人かの人に聞いてみた。

ちゃんと地鎮祭したんでしょ?
と言われて

うーん。そっか。
前の3丁目の家の時には
ハウスメーカーの人達と
子供達も一緒に

神主さん来てくださって
お祓いをしてもらって
みんなで一口づつお酒を
回し飲みした記憶がある。

まだ1年生だった3女が
一気にお酒全部飲んでしまって
みんなで慌てていた事を思い出した。 

2018年8月31日金曜日

赤い口紅の続き

表情は豊かに
いつも笑顔で 
ニコニコと。

と、あったけれど 
人と会ってなら
ニコニコと
頬を固くして
いられるけれども、 

一人で歩いている時や 
横断しようと道の傍らで 
車の音聞いて 
耳を澄ましている様な
時にでも

ニコニコしていた方が
いいんだろうか? 


一人でいて、
ニコニコしているのは 
他の人から見たら 

ニヤニヤしている様な 
逆に悪い印象に
なるんではないかなあ? 


化粧していると 
洋服の脱ぎ着する時や 

袖なんかに 
化粧品が付いてしまう。


お化粧していた時、
家に来て下さった 
ヘルパーさんに 
見てもらうと 

帽子や洋服なんかに 
ファンデーションが
付いていると 
言われて、揉み洗いを 
伝って貰ったことがある。 

お顔が綺麗でも 
エリの所なんかに 
ファンデーションとか 
付いていたら最悪。 


自分で汚れが
分からないから 
お化粧を仮
上手に出来たとしたって 

その後のよごれの 
心配で楽しい気分も
半減してしまう。


目の見える人達は 
汚れた時に
ちょちょっと 
拭いたりできるから 
いいけれど 

盲人が一時美人になれても 
それを継続させておくのは 

なかなか難しい。  

2018年8月30日木曜日

赤い口紅

「赤い口紅が 
あれば良い
いいつでも 
一番美人に見えるテクニック」


図書目録を見ていたら 
こんなタイトルが
あったんで 
早速読んでみた。 

全盲だからファッション
雑誌読みたいけれど 
読むこと出来なかったから 
興味があった


赤い口紅だけで 
美人にみえるなら 
私にだって出来そう。


 
美人には、
 
リアル美人 
ムード美人 
キャラ美人 

いろんな美人タイプ
があるらしい。 


美人、三つの要素には 

正しい姿勢 
豊かな表情 
いつも笑顔 


それと 


清潔感とのこと。



ここらなら私にも 
ブラインド美人
目指せる範囲。
 

次の三つの大切な事は 

鏡を良く見ること 
蛍光灯の下には立たない事

これは光の加減で 
陰を作るらしく 
目の下にクマが見えたり 
顔色悪く見えたりも
するらしい。 

あとは一番綺麗に見える 
自分の顔の角度を
研究しておくということ。

 
これら三つは
私たち盲人には無理
ですねえ。
  

メイクのポイントには 
眉を整え、

アイライン、 
マスカラ、そして 
赤い口紅。


大人の女性は 
髪をさりげなくまとめて 
眉を整えて
コンシーラーで 
シミを隠し、
パウダーはたいて、 
赤い口紅するのが 
ナチュラルで 
見栄えのする
メイクだとのこと。
 

ブラインドメイクで 
上手にお化粧できる 
盲人達もいるそう
だけれど…
 
特別に訓練するの
じゃなくって、

アイライン、マスカラ 
しない アイメイクして、 
クリームタイプの 
コンシーラー何かがあって 

それを頬にくるくるっと 
塗って、
あとは口紅だけで良い!
  
そんな
お化粧方法 
あったら 
いいのになあ。  

でも・・・・

2018年8月29日水曜日

呼び出しの続き

『まさか電車の中も 
このまま?』 

『学校に来てから 
身近く整えているの?』
  
『家出る時から 
こんなに短くしているの?』
 
『お化粧もしているんでしょ?』



「この間まではこれに 
金髪だったんだよねえ」



『・・いいな。
私もしたかったよ。 
私たちの時代はね、
長ーいスカート
流行っていたんだよ。』


『私も目が見えていたら 
スカート長くして 
原宿に行って 
タケノコ族にいれて
もらったんだけれどなあ…』
 
『お化粧。いいねえ。 
今度出かける時
してくれる?』 

『・・ありがとう。
上手になっていてね。』






指導内容は、
2学期の遅刻が 
60日ちょっとで 
総早退が10回ちょっと。

ともに学校にいたのが 
10回足らず…。 

なので朝1時間目にある 
歴史の授業数が足りなくて 
進級できないとのこと…。

あとは、スカート短いとか 
お化粧しているとか…



さあ困った


 
『高校は卒業した方が
良いと思うので、 
もう1年同じ学年で 
お世話になりたいと
思いますので、
よろしくおねがいします。
ね。普通なら、3年しか
居られない、高校生活。 
4年も居られるんだから
ッキーっとしようよね。
好きな本ももっと読めるしね!』



担任の先生も
娘も黙っていた。
高校生ともなれば 
自分で考えるしかない。


私は呼んだタクシーまで 
娘に送って乗せてもらって 
一人家に帰って行った。

2018年8月28日火曜日

呼び出し

高校生の娘。 
素行不良で、
担任の先生から 
電話があって 
学校まで呼び出されてしまった。


高校は駅から遠かったので 
私はタクシーに乗って 
正門の前で降ろしてもらった。 

放課後だから 
部活動の声だろうか… 
さわやかな元気な声達
で溢れかえっている。 


タクシーのドライバーの人に 
校門の壁を教えてもらったので
 
そこで
娘の迎えを待った。 

あの子は小さい時から 
親が学校に来ることを
ても嫌がっていた… 

こんな放課後… 
白杖を持った私と
校内を歩いて行くことは 
目立って嫌なんだろう。 


だったら、
呼び出されるような事
しなきゃいいのに。 



「こっち。」 




娘はちゃんと 
迎えに来てくれた。 


私は慌てて携帯用の
白杖をたたんで
バックに入れようとした。 


「・・いいよ。そのまんまで。」 


『ふーん』



高校生にもなると 
少しは違ってきて
いるみたいだ。
 

がらんとした教室の中。 
生徒指導の順番を待っていた。
 

「今さ、指導されているの 
男子でさ。 
盗撮したんだよ。 
スカートの中ね。 

それで親呼び出されてるの。 

私なんか、それよか 
良い方でしょう? 
遅刻と早退が
多いって言うだけだからさあ。」


学校のひんやりとした 
木の椅子。 
横に並んで座って
遠くで聞こえる 
生徒たちの声を聴く。 

ちょっと手を出して  
娘に触れてみる。 

制服のスカートを
ものすごく短くして 
太いムチムチの
足を丸々だして組んでいる。 

時折、家でピアノを
上手に弾いている 
その指は、ほっそり柔らかく長い。 

携帯を握っている
その指の爪も長い…。


毎日、仕事と家事に 
追われて、忙しくて…

こうして、ゆっくり 
娘の隣に座った事なんて 
しばらく無かった。


『ねえ。こんなに 
スカート短くしている
けれど、いつも、
こんなだったの?』