2018年11月28日水曜日

盲人の事務員

体育館中に響き渡るその声は 
柔らかく大人の女性って感じを
させている。
色っぽくて、落ち着いている。
すてきな声だった。 

私が学生時代…
昭和後期、先輩の盲人女性の講演を聞いた。 

電話交換手として
事務員の1人として
保険会社に勤め始めたとのこと。 

「仕事はいいですから、
ここに座っていてください。」

と言われて、1日中何もせずに
部屋の隅に座っていた日々が
随分と続きました。

周りの人たちは 
ひっきりなしに電話応対していますし、 
コピー機などの機械音が聞こえてくるばかりでした。 

来る日も来る日も座り続けていたんです。 
せっかく入社させてもらったのですから 
辞めるわけにはいかなかったんです。」

その先輩は淡々と、
それからのことを話してくれました。 

私が社会人になってから 
もう1人、おもちゃ会社に入社した
全盲の女性の話も聞くことができました。 
「デスクと椅子があるだけで 
仕事は無かったんです。 
”何か仕事させてください”と言っても、 
”まあ、座てて”と言われるばかりだったんです。 
だから、何か点字書いて 
仕事しているフリしていたんですよ。」 

想像するだけでも大変。
泣きたくなる。 
精神力。気力。情熱。
それらがあったって 
さぞかし辛い事だっただろう。
  
でも彼女たちは、辞めずに 
自分でできる仕事を見つけ 
提案していったんだそうだ。

それが少しずつ認めてもらえるようになっていった。 



すごい。

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