今日はなんか体がダルいから
会社に着いたらエレベーターで行こうかな〜
っと思いながら、会社の入り口を入って行く。
「おはようございます!
はい。階段はこちらですー」っと。
もう2年も続けているので
入口に居る警備員の方は
いつも階段へと誘導していってくれる。
『・・・あ。はい。』
いいえ。と、言うのも面倒なので
結局5階まで100段上って行く事になってしまう。
以前、誰からか、
「毎朝の階段は足を強くする」っと
言われてから、続けている。
けれど、これといった
効果も分からないでいる。
いやっ。
ダルくても、
100段上っていく事が
出来るって事が、効果の現れ
なのかもしれない。
明日も階段を上ろう。
何か言って下さいませんか?
何か、何か言って下さい。
『ありがとうございます』の
お礼を言ってから、私は毎回思う。
いつだってそうだ。
今朝だってそうだった。
ほとんどの親切な人達、
声を出さずに、
無言で親切なサインを送ってくれる。
混んでいた山手線。
ドアの脇に立っていたら
トントンと右腕を叩いてくれる人がいる。
私はその合図だけで席が
空いているのか、
空けてくれたのか、
とにかく、
座らせてもらえる。ということを知る。
体の向きを変えて
『ありがとうございます』っと
声に出して言う。
トントンの合図をしてくれた人で
あろう人が腕を引っ張って
空いている席の前に誘導してくれる。
私は再び声に出してお礼を言う。
そして頭をさげる。
とりあえず、正面に向かって。
そのお辞儀の方向が正しい方向なのかも分からない。
先日も、
ホームへの階段を探していたら、
やっぱり無言の手が
私の腕を摑んで左手を階段の手すりを触らせて
黙って去って行ってしまった。
私のお礼の声は聴いてくれていたんだろうか?
声ちょっとでも出してくれたら良いのに。
親切にしてくれた人の声がききたい。
声を聴かせてほしい。
何か言ってほしいんです。
何で声出せないんでしょう。
親切が中途半端ですよ。
今度は是非、一言でいいので、
声を聞かせてくださいね。
先週ひどい怪我を
してしまいました。
左足のくるぶしの捻挫です。
通勤で、
無くてはならない
点字ブロックが
辛いものとなってしまいました。
左足で点字ブロックを
踏むたびに、
足首の角度が
変わってしまうので
筋だか、なんだかが、
伸びるのか縮むのかして、
痛いのです。
盲人の私たちにとっては
点字ブロックは
とても大切なものですけれど、
捻挫した人たちにとっては
避けたいものになっているってこと。
そういえば乳母車で
ここを通り過ぎるたびに
ガタゴトと、眠っている
赤ちゃんたちを
びっくりさせてしまっていること。
ハイヒールの人は
気を付けなければならないでしょう。
点字ブロックは
今やあって当然っといった感じで
ぐいぐい歩いていましたけれど
このブロックで
困っている人たちもあるのだと
改めて知るきっかけとなりました。
困っている人たちは
盲人の人たちのためだからと
受け入れてくれていたんですね。
これからは
ありがとうの気持ちをもって
点字ブロックの上を
つたって歩いていかなくてはと
思っているところです。
イベントが終わって
交流会に参加した。
居酒屋での飲みだ。
自分の前にも盲人の年配の女性と
ガイドさんが座った。
室内に40人程居ただろうか。
食事も中盤
座もくずれて
それぞれの話で
盛り上がっていた。
と、前に座っていた
盲人の女性が
ガイドさんにマッサージを
始めだした。
「こっちの肩が痛い」
「こっちの手が痛い」
何て言うのを聞きながら
マッサージで肩を揉んだり
叩いたりしている。
そんな安売りするな。
こんな飲み会での席の中。
肩が凝るなら治療院に行くといいですよ!
何て言えない。
『こういう盲人達がいるから
軽んじられるんだ!
酒飲んで居酒屋で
マッサージするバカがいるか!
酒飲んでマッサージしていて
無資格者のマッサージ
辞めさせろなんて
言えないだろう。
止めろ止めろ!
安売りするな!
資格持っているんだから
プロ意識をもて!!』『マッサージの仕事をして
生計立てている者に
とって、こういう
資格者は最悪だ!
旨い酒までがマズくなってくる!』
「私もね、ここ痛い
のよねえ…肩も張ってねえ…」
自分についている
ガイドさんまでが
マッサージをやれとばかりに
話かけてくる。
『冗談じゃない。
自分はお金払って
ガイドさんを頼んでいるのに
こんなことってあるか?』
・・・・・まあ久しぶりに
パパがグチグチ愚痴ること。
愚痴ること。
よっぽど気分が悪かったらしい。
『飲み直しだ!!』
何て言って、
冷え冷えのビール、
それから何本飲んでいたんだろう。
私:「ね?本人には何て言ったの?」パパ:「何にも言えるわけ
無いじゃあないか。」
今度は焼酎らしい。
よっぽど腹に据えかねたんだろう。
朝の通勤ラッシュ。
車内はキツキツだ。
私はドアの横のバーに掴まっていた。
すぐ横の席は優先席。
”トントン”と肩を後ろから叩かれて
「どうぞ空きましたから座ってください」
と言われ、席を譲って貰った。
今日はなんだか混んでいて
身動きするのも大変だった。
けれどせっかく声をかけて下さったので お礼を言いながら、人をかき分けて やっと座ることができた。
譲ってくださった女性が私の目の前で
おしゃべりを大きな声で始めた。
「…まったくねえ体の不自由な人がいるのにねえ。」
明らかに私より年上そうな年配の方の声。
どうやら同じ年頃のお友達と一緒の様だ。
「…ねぇ座らせてもらったら?」
そのお友達が、
私に席を譲って下さった
女性に話かけている。
盲人の私の足は丈夫だから
本当は立っていられるのに…。
その会話は優先席付近の全員が
聞こえていたに違い無い。
しかし優先席では人の動きはなかった…
お年寄りから席を譲って貰った私は
なんだか申し訳なくて、
小さく体を縮めて座っていた。
通勤の帰り。
池袋でいつものところに並ぶ。
周りに並んでいる人達も
通勤帰りで、同じ顔ぶれのようだ。
70台の女性が良く手を引いてくれる。
たびたび会うので話をするようになった…
「ちょっと!お姉さん!スマホやめてよ。
ここ、障碍者の所よ。
私ペースメーカー入っているんだからね!
おかしくなったら、あんたのせいだからね!!」
と、いきなり大きな声を上げたので
びっくりしてしまった。
だけれど白状持っている私にはとても親切。
「近くで携帯使われると、
どんな感じがするんですか?」
っと聞いてみたら、
ドキドキしてきて、
気持ち悪くなってしまうんだそうだ。
私はひやひやしていた。
というのも、アイフォンでラジオを聴いていて
声かけられたものだから、
そのままイヤホンをバックの中に
つっこんで置いてあるからだ。
携帯は気持ち悪くなるけれど
ラジオは大丈夫とのこと。
じゃあスマホで聞いている
ラジコ(インターネットラジオ)のラジオは?
スマホなの?ラジオなの?どっち?
で、話をしていたら、
孫からメールが来てねっと言っている。
「メールは大丈夫なんですか?」
普段はそばに置いていないから
メール受信し終わった後に読むのは
気持ち悪くならないらしい。
送受信の時がダメとのこと。
バックの中にはスマホが入っている。
じゃあいつ受信するかも分からないじゃない
って思ったけれど、、、
そこは私も社会人。
「今は気持ち悪くないですか?」
っと聞いてみたら、
『平気 平気!』
とのこと。
じゃあよかった。
ラジコのラジオは、やっぱラジオだったんだ。
私の仕事は
会社の中で社員のマッサージをしている。
枕と胸当てのマットの上に
うつ伏せに横になってもらう。
もちろん枕やマットには
エチケットペーパーが
かかっている。
足元膝から下には
シーツの下に遠赤外線の出る
ホットマットが敷きこんである。
うつ伏せになってもらったら
ホットパックという
あつあつのアイスノン位の
大きさのものを
首の後ろと腰と両足の足裏にのせる。
足なんか上と下から
ほかほかサンドイッチ。
静かにタオルケットかけてあげたらスタート。
体の裏面は全部マッサージしていく。
特に首の後ろとふくらはぎは よくよくしている。
みんなお疲れだから
すぐに眠ってしまう。
30分だけ
ほかほか
うつらうつら束の間の癒されの時間。
しかも福利厚生なんで無料。
何回来ても可。時々は家族のことやら
ボーイフレンドのことやら
話を聞くこともある。
BGMは文化放送。
こうすると
ざっくり時間が分かってくるから。
頭のマッサージが
気持ちいいって言う人もいるし
お尻がすっごくいいって人もいるし
足の浮腫みがとれますって言ってくれる人もいる。
お部屋は冷暖房入っているから
夏なんかは会社に来ていた方が
体はさらさら
暑さ知らずでいられるのでいい。
この梅雨あけたら
暑い夏がくる。
会社にいるのが好きな時期になってきた。
どんどんぱん
どんどんぱんアイスホッケーの
ビックハットのリンクに
会場に天井に
アイス協議独特の音楽が響きわたる。
その音同士がぶつかり合って
もう一つの音を作り出している。
私はリンクの脇の手摺で
リンク内で行われている
アイスホッケーの音を聞く。
どんどんぱん。に
ちぇぁ。がっ。
ぶつかる生々しい音が突き刺さる。
チャリ。ガツン!と激しい。
どすっと鈍い音。
「あ。椅子ごと横に倒れてますよ。
あ。4番が後ろから行って
ヘルメットぼこぼこ
スティックで殴ってますよ。
あ。また、椅子ごと横倒し。
え?あ。すぐ手をついて
自分でひょいっと起き上れますよ。
あ。またスティックでヘルメット
あ。あー。あんなに叩いて。喧嘩ですよ。」
私の隣で私の専属のガイドさんが
休みなく伝えてくれている。
リンクをぐるり囲んでいる観客達が
その度に悲鳴をあげている。
1998年長野での冬季パラリンピックに
私はJBSのキャスターとして 取材に行っていた。
「japan broadcasting service for persons with visual imtairment]
全盲の立場で全盲の方達に
より分かり易い説明をするために来ている
こんな体験最初で最後のこと。
アイスホッケーをするための
特別な椅子を触らせてもらえた。
足は前に長く伸ばした長座位の姿勢で座り
体や足をベルトでしっかり椅子に固定する。
その椅子はちょうど体育館に並べる
パイプ椅子と同じような感じで
ただ骨組だけ組まれたものだった。
座面が氷の表面より20センチ程高く
また足を固定するベルトがあちこちについていた。
選手達は皆、足が悪い。
切断している人もいるし 麻痺している人
松葉杖を使ってなら歩ける人
人によって障害の内容は違う。
アイスホッケーはとても過激な
激しいスポーツなんで
がっちり体と椅子とを固定しなければならない。
両手には4角柱の5,60センチメートル位の
金属製の鉄パイプのような?
スティックを持っている。
このスティックの端っこは
ギザギザになっていて
そこで氷の表面に突き立てて
椅子を操っていくんだ。
私は選手達を触らせてもらった。
分厚い肩パットの下には
肩と上腕にはアシカと思うほど
大きな筋肉が盛り上がっていた。
足先には分厚いソックスが
重ね履きされている。
いっくら激しい運動をしていても
どうしても足は温まってこないので
足の指先が凍傷みたいに
なってしまうんだそうだ。
足指のケアーが一番大切だ
とも言っていた。
お話をお聞きしたら
ほとんどの選手達はバイクの事故で 障害者になってしまった。
と明るく笑いながら答えてくださった。
リハビリのために
車いすバスケットをしていたら
こちらのアイスホッケーに誘われたんだそうだ。
「もうしょうがないよ。」「そうだ。しょうがないな。」
しょうがないと諦めきれた時が
せっかく残った命
しばらくはまあ。生きてみるか
っと思った時だった。
彼らが話していたことだった。うーん。みんながんばって!
私が小学生高学年
の時だったか。
寄宿舎。
みんなで倉庫から
新聞紙をたくさん運んできた。
「新聞紙ちぎって
雪の国作ろうよ。」
学校から戻ってきた
私達10人程で
大量にあった新聞を
できるだけ沢山できるだけ小さく
ちぎって。ちぎって。
ひたすらにちぎりまくって
みんなで雪の国を
作る事に没頭していた。
ビリビリ―
ザキザキー
びりびりー
ざきざきー
新聞紙破るのは
なんか気持ちが良い。
楽しい音がする。
部屋の真ん中に
こんもりと山が出来るほどに
新聞紙の雪が溜まっていった。
早速、運動神経の良い子が
天袋に雪を詰めた袋を
担いで登った。
「ちらちぁ。ひらひらぁ。
雪ですぅ。雪でぇす。」
畳の上にいる私達の上に
雪が降ってくる。
私達はもっと新聞ちぎったり
袋に詰めたり大忙し。
天袋に登っている子に
雪袋渡して
雪降らしてもらう。
誰かが傘を持ってきた。
傘に新聞雪が
さらさらと
音を立てて降ってくる。
音が出るとみんな
テンション上がってくる。
畳組も雪を胸いっぱいに
雪抱えて友達の頭の上から
雪を降らす。
傘を逆さまにして雪を満タンにして
振り回してみる。
「あなた達ー。
何してるんですかあ?」
おっかない寮母先生ががらり。
乱暴にドア開けて
どすどす入ってきた。
「ほら。下りて来なさい。」
「みんな。どいて。飛ぶから。」
「危ないからゆっくり下りなさい。」
他のみんな「どいたよお。」
みんな部屋の周りに
散って声をあげる。
天袋に上がった子も
勇気ある全盲の子。
ばさ。
雪の山の上に
飛び降りる事が出来た。
みんな駆け寄って
「すごいねえ。」
「みんな。立ちなさい。」
先生は激しく怒っている。
「あなた達。手も顔も真っ黒よ。
この新聞どうするの。」
新聞紙で遊ぶと
真っ黒になってしまうらしい。
あの時に覚えたこと。
でもそれ以来
新聞紙とは
不思議な訳の分からない物
だと思う。
触ると真っ黒になる
と言いながら
洋服しまう時には
引出しの下に
新聞紙を敷いている。
洋服は真っ黒に
ならないのはなぜ?
大人になってからは
窓ガラスを新聞紙で拭くと
ピカピカになると聞くから
新聞紙使って
磨いた事あるけれどガラスは
真っ黒にならないのかな?
ガラスって
きれいな透明でしょ?
お皿やコップを
新聞紙で包むけど
これは真っ黒にならないのかな?
新聞紙とは
摩訶不思議な物。
真っ黒にさせたり
ぴかぴかにさせたりと。