2018年7月29日日曜日

席譲って貰って

朝の通勤ラッシュ。

車内はキツキツだ。
私はドアの横のバーに掴まっていた。 

すぐ横の席は優先席。

”トントン”と肩を後ろから叩かれて 

「どうぞ空きましたから座ってください」

と言われ、席を譲って貰った。


今日はなんだか混んでいて
身動きするのも大変だった。

けれどせっかく声をかけて下さったので 
お礼を言いながら、人をかき分けて 
やっと座ることができた。
 
譲ってくださった女性が私の目の前で
おしゃべりを大きな声で始めた。


「…まったくねえ体の不自由な人がいるのにねえ。」
明らかに私より年上そうな年配の方の声。



どうやら同じ年頃のお友達と一緒の様だ。


「…ねぇ座らせてもらったら?」
そのお友達が、
私に席を譲って下さった
女性に話かけている。
 

盲人の私の足は丈夫だから
本当は立っていられるのに…。

その会話は優先席付近の全員が
聞こえていたに違い無い。

しかし優先席では人の動きはなかった…


お年寄りから席を譲って貰った私は
なんだか申し訳なくて、
小さく体を縮めて座っていた。

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