2018年4月18日水曜日

新聞紙

私が小学生高学年
の時だったか。

寄宿舎。
みんなで倉庫から
新聞紙をたくさん運んできた。

「新聞紙ちぎって
雪の国作ろうよ。」


学校から戻ってきた
私達10人程で
大量にあった新聞を

できるだけ沢山
できるだけ小さく
ちぎって。ちぎって。
ひたすらにちぎりまくって

みんなで雪の国
作る事に没頭していた。


ビリビリ―
ザキザキー

びりびりー
ざきざきー

新聞紙破るのは
なんか気持ちが良い

楽しい音がする。


部屋の真ん中に
こんもりと山が出来るほどに
新聞紙の雪が溜まっていった。


早速、運動神経の良い子が
天袋に雪を詰めた袋を
担いで登った。


「ちらちぁ。ひらひらぁ。
雪ですぅ。雪でぇす。」

畳の上にいる私達の上に
雪が降ってくる。

私達はもっと新聞ちぎったり
袋に詰めたり大忙し。

天袋に登っている子に
雪袋渡して
雪降らしてもらう。

誰かが傘を持ってきた。

傘に新聞雪が
さらさらと
音を立てて降ってくる

音が出るとみんな
テンション上がってくる。

畳組も雪を胸いっぱいに
雪抱えて友達の頭の上から
雪を降らす。

傘を逆さまにして
雪を満タンにして
振り回してみる。


「あなた達ー。
何してるんですかあ?」

おっかない寮母先生ががらり。

乱暴にドア開けて
どすどす入ってきた。

「ほら。下りて来なさい。」

「みんな。どいて。飛ぶから。」

「危ないからゆっくり下りなさい。」


他のみんな「どいたよお。」

みんな部屋の周りに
散って声をあげる。

天袋に上がった子も
勇気ある全盲の子。

ばさ。

雪の山の上に
飛び降りる事が出来た。
みんな駆け寄って

すごいねえ。」


「みんな。立ちなさい。」

先生は激しく怒っている。

「あなた達。手も顔も真っ黒よ。
この新聞どうするの。」


新聞紙で遊ぶと
真っ黒になってしまうらしい。

あの時に覚えたこと。

でもそれ以来
新聞紙とは
不思議な訳の分からない物
だと思う。


触ると真っ黒になる
と言いながら
洋服しまう時には
引出しの下に
新聞紙を敷いている。

洋服は真っ黒に
ならないのはなぜ?

大人になってからは
窓ガラスを新聞紙で拭くと
ピカピカになると聞くから

新聞紙使って
磨いた事あるけれど
ガラスは
真っ黒にならないのかな?

ガラスって
きれいな透明でしょ?


お皿やコップを
新聞紙で包むけど
これは真っ黒にならないのかな?


新聞紙とは
摩訶不思議な物。


真っ黒にさせたり
ぴかぴかにさせたりと。

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