高校生の娘。
素行不良で、
担任の先生から
電話があって
学校まで呼び出されてしまった。
高校は駅から遠かったので
私はタクシーに乗って
正門の前で降ろしてもらった。
放課後だから
部活動の声だろうか…
さわやかな元気な声達
で溢れかえっている。
タクシーのドライバーの人に
校門の壁を教えてもらったので
そこで
娘の迎えを待った。
あの子は小さい時から
親が学校に来ることを
とても嫌がっていた…
こんな放課後…
白杖を持った私と
校内を歩いて行くことは
目立って嫌なんだろう。
だったら、
呼び出されるような事
しなきゃいいのに。
「こっち。」
娘はちゃんと
迎えに来てくれた。
私は慌てて携帯用の
白杖をたたんで
バックに入れようとした。
「・・いいよ。そのまんまで。」
『ふーん』
高校生にもなると
少しは違ってきて
いるみたいだ。
がらんとした教室の中。
生徒指導の順番を待っていた。
「今さ、指導されているの
男子でさ。
盗撮したんだよ。
スカートの中ね。
それで親呼び出されてるの。
私なんか、それよか
良い方でしょう?
遅刻と早退が
多いって言うだけだからさあ。」
学校のひんやりとした
木の椅子。
横に並んで座って
遠くで聞こえる
生徒たちの声を聴く。
ちょっと手を出して
娘に触れてみる。
制服のスカートを
ものすごく短くして
太いムチムチの
足を丸々だして組んでいる。
時折、家でピアノを
上手に弾いている
その指は、ほっそり柔らかく長い。
携帯を握っている
その指の爪も長い…。
毎日、仕事と家事に
追われて、忙しくて…
こうして、ゆっくり
娘の隣に座った事なんて
しばらく無かった。
『ねえ。こんなに
スカート短くしている
けれど、いつも、
こんなだったの?』
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