2017年10月5日木曜日

馬とび

6畳の部屋は3枚の式布団でいっぱいだ。

私は部屋の3分の1くらいのところに小さくうずくまっている。

次は長女だ。
私は背中を膨らませて膝を伸ばして高くする。
さっきよりちょっと高くしてみる。
今までで一番高い馬になる。

ドンドンと2~3歩だけの助走だ。

背中に両手の爪を立てて、おしりをひっかけてやっととんだ。

「おねえちゃん爪見せて」
「明日は爪切りしようね。」
私は指の腹で爪の長さを確認する。

次女、三女が早く早くと騒ぎはじめる。

次は3女だ。
私は小さくうずくまる。
でもさっきよりちょっと高くして腕をつっぱる。

三女は私の背中にとりつき、這い上がって向こう側におっこちていく。

私は間髪を入れずに右腕で三女の頭から首の後ろを抑えて、体は布団の上に投げてやるんだ。

群馬県の体育の先生だった星野富弘さんは、授業中跳び箱のお手本を見せていて失敗して首の骨を折ってしまったんだ。
その手記を呼んでいるから、崩れながらおっこちていく時には首を痛めないように十分に注意している。

お夕食とお風呂が早く終わって8時前なら大好きな大好きな馬とびをして遊ぶんだ。

次は次女。
私はわざと間違えて小さく小さくうずくまる。
手もつかずに軽々超えていく。

違うよ違うよ、とブーイングだ。

最後はお水をごくごく飲んで、おしっこしたらおやすみなさいだ。

真っ暗な部屋の中、今日は長女と三女の間に寝る日。
次女は三女にくっついて私が点字の本を読むのを聞くんだ。

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