「体育が終わって、教室に戻って早弁していた弁当の続きを食べようかと思ったらさ、ふたがずれててさ。
ほら、給食センターのだから、ふたがのっかっているだけのだからさ。
おかずの肉だけが無いんだよ。カンナは肉食なんだよな。」
うちのパパ「夫」の学生のときに、カンナという盲導犬をつれて通学しているクラスメイトがいた。
カンナは授業中、教室の後ろのすみっこのダンボールの上で過ごしている。
「誰だ?いびきかいて寝てるのは?」
それはパパと思われていたらしいけれど、実はカンナのいびき。教室中に響く大きないびきで、ゆっくりしたリズムはクラスじゅうの眠気を誘っていたとのこと。
また突然、アウアウーーっと寝言を言ったり、風邪を引いている時なんかは、ぼほぼほと咳をしたり、しゅーーっとくしゃみしたり、おならもしたりと派手な音を立てていたという。
盲導犬は落ちているものも食べないっていうけれど、体育の時間、誰もいない教室。
窓からは心地よい風と、体育の授業の笛の音と生徒たちの声。
目のまえにからあげ弁当。
これじゃ誘惑されちゃうのもしようがない。
カンナはみんなからかわいがられていた茶目っ気たっぷりの盲導犬だった。
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