2017年12月15日金曜日

クリスマスかざり

「こちらの画用紙で、ツリーを切り抜いてもらって、こちらの画用紙に貼って、お母さんと一緒に、このクリスマスツリーに飾り付けをしてください」

飾り用の折り紙やら、モール、綿、毛糸、色鉛筆、のりと保育園の先生は私の手を取って教えてくださった。

毎年親子写生会をしていたらしいけれど、私がいるってことで内容を変えて、私でも参加できるようにと画用紙でクリスマスツリーに飾り付けをするっていう企画に変えてくださったとのこと。

まずは5歳の娘では上手くツリーが切り抜けないので、それは先生にしてもらって、一緒にのりで画用紙に貼ってみた。

切り抜いたツリーを真っ直ぐに画用紙の真ん中に貼るってことが難しい。
こどもと一緒に、なんて言われると、なおやっかいだ。
それでも何とか貼り付けた。

私は色鉛筆を持つことは出来るけれど、書くことはできないし、
はさみで物は切れるけれど、リボンやローソクなんて切り抜くことはできない。

ましてや、紙のツリーにどんな風に飾っていくのかさえ分からない。

「ここにリボンつけようか?車も飾っちゃおうか?唐揚げもかざるの?お星さまつけようか?」

周りからは親子の楽しそうな会話ばかりが聞こえてくる。
娘は状況の悪さを早くも察知して、黙っていて何もしない。

先生が心配して覗きに来てくれる。
先生は、こういう切り抜きなら出来ると思っていたことが、私が何もできないってことに気がついたらしい。

娘の向こう側に椅子を持ってきて、私のかわりに長ぐつの絵やらモールを輪っかにして貼ってくれたりしているうちに娘は泣き出してしまった。
もう5歳だからデリケートな気持ちを持っている。
まわりのママたちも声をひそめて話している。

「お母さん、何も出来なくてごめんね。」

そんなこと言ってしまったから、なお悪かった。

周りのママたちが、これ飾らない?と、折り紙を切り抜いたかわいいリボンやら、ねこやら、ドーナツなんかを渡しにきてくれる。

わたしは椅子を後ろに引いて、有難うございますっと言い続けていた。

娘が泣きじゃくっている間に、かわいい飾りが貼りつけられていった。
一番ゴージャスだよっと言われている。

おかあさんも触ってみて!と、先生から言われて、画用紙の上を指先でそっとそっと撫でてみる。
ちぎったわたまで貼りついている。

説明されなきゃ、何が何だか分からないけれど、色々小さなおりがみが貼りついている。

私は手の中から4ひきの折り鶴を差し出した。
クリスマスツリーに折り鶴はないでしょ?とは思ったけれど、何もしてあげれなかったから、折り紙を四つに切って、これだけ折っていたんだ。
これしかできなかった。

不覚にも私は涙を吹き出させてしまった。

先生が4匹の折り鶴も貼って下さった。

「皆さんのおかげで、素敵なクリスマスツリーになりました、有難うございました。」

胃が締めつけられて、喉が締めつけられて、これだけ言うのがやっとだった。

大きなテーブルを囲んでの作業。
もっと明るく乗り切れなかったかと、後になって後悔するばかりだ。

ましてや子供の前では泣きたくなかった。

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