冬休みが開けて3学期。
外は寒いけれど、私たち小学生たちは若い先生たちと放課後たこあげをして遊んでもらった。
ボール紙にグルグル巻きつけられたたこ糸をにぎって先生の声を待っている。
先生は向こうで良い風にたこを乗せようと頃合いを見計らっているんだ。
私は冷たい風のなかツンツン飛びはねるたこ糸を両手でぎゅっとおさえつけて胸にかかえこむ。
あっちでもこっちでも「たこがあがったあ!」と友達の歓声がきこえてくる。
「よおし!走れ!前!前!」
乾いた校庭ジャリジャリけって思いっきり走っていく。
たこ糸がぐっと重くなって後ろに引っぱられる。
先生は後ろから走ってきて私の手を取って上がっていくたこを見上げている。
たこ糸がグングン私を引っ張っていく。
誰か向こうで引っぱっているようにグーンっと引いたり緩めたりしながら私をもちあげにかかるたこ糸はブルブルと風の強さによって震えを変えているようだ。
「このたこ糸の向こうでたこが飛んでるのがわかるか?」
耳元で言ってくれた先生の声は男っぽくってぞくっとしてしまった。かっこよかった。
目が見えた頃、テレビで赤影参上っていう番組があって赤影たちが大きなたこで空を飛んでいるシーンがあったけれどまさかっと思っていたけれどこんなだったらほんとに飛べていたのかもとおもう。
たこはビニールでできていて肩幅よりちょっと大きなかんじで、下にヒラヒラがついていたかどうかは忘れてしまったけれどひし形のような形のものだった。
たこのおなかのところに吹きつけられた風がたまると空高く飛んでいくからたこ糸を握っていればたこの様子がわかるはずだっと説明してくれていたんだ。
空へとつきささっていくたこ糸は角度を増していく。
持ち上げられてしまいそうに強い力だ。
「ほら見えるか?たこ同士が喧嘩するぞ!あっちほらあっち!」
弱視の子たちがよく見えるようにと先生とみんなとで派手派手のカラフルたこにおしゃれしていたから。見える!見える!とみんな大喜びだった。
テレビドラマにでも出てきそうな素敵な先生だった。
こんな躍動間のあるたこ上げ。
子供たちと一緒にしてみたかったなあ!
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