2018年6月29日金曜日

ネズミのたたり

私が7歳の時。
目が悪くなる前の日。

夜、目が覚めて
ぼんやりテレビの方を見ていた。

家族みんな寝静まっている。

テレビの置かれている後ろは白い壁。
床の間の壁。

そしたらそこにねずみの大きな黒い影が浮き上ってきた。

ミッキーマウスのように
丸い大きな耳があって
口がとがっている。 

じっと見ていたら
そのねずみの影の中から
包帯をぐるぐる巻きにした
真っ黒な陰が出てきて
私の方にゆっくりゆっくり歩いてくる。

怖くて目をぎゅっとつぶって
お布団の中に潜りこんだんだけれど
ミイラがだんだん近づいてくるのがまだ見える。

私の横に来たミイラ
私と同じ格好して
私の上から覆い被さってきた。

次の日、町の小学校1年生だった私。
教室の後ろから2番目の席。

昨日まで見えていた黒板の字が
白いチョークの字がボヤけて見えない。

保健室に連れていかれた私は
視力検査をし、親が呼び出されたんだ。

作業着のまま飛んできてくれたお父ちゃんだった。


何日か前のこと。

お母ちゃんから言われて
ねずみとりの罠にかかった
ねず1匹を籠のまま渡されて

外の金だらいに
水が張ってあるから
それに沈めて殺してこい!
っと言われたんだ。

私は金だらいの脇にしゃがみこんで 
籠の中で苦しがるねずみを見ていた。

ねずみは涙をながしていた。
沈めては持ち上げ
持ち上げては沈めたりして
もがいているねずみの振動を
手に感じながら繰り返していたんだ。

かわいそうと思っていたのに
なんで逃がしてあげれなかったんだろうか。

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