2017年9月21日木曜日

ビーチボール

私が高校生のときだ。

盲学校の近くにある大学から、ボランティアの学生がたくさん来ていた。
放課後外で遊んでくれたり、行事のお手伝いや杖歩行の練習など活躍してくれていた。

仲よくなったお姉さんたちから誘ってもらって、日曜日にドライブに連れていってもらった。

お姉さん、お兄さん達に混ざって車に乗せてもらって、ずっと遠い河原にいった。

お姉さん達は、お弁当をたくさん用意してきてくれていた。
ケーキやクッキーなんか手作りで持ってきていた人もいた。

私はただお客さんだから、紙皿と紙コップ渡されて色々ごちそうになった。

学生たちは、よくしゃべり、よく笑っていた。

私は気おくれしながらも、仲間に入れてもらっていた。

ランチが終わると、誰かがビーチボールを出してきたのでバレーボールが始まった。

私は荷物に囲まれて、ビーチボールが打たれる音と学生たちの声をぼんやりと聞いていた。

すーっと、糸のように細い涙が落ちてきた。

ここでは、絶対に泣いたらだめだ。
優しいみんなが嫌な思いをしてしまう。

まぶたをぎゅっと大きく開けて、目を乾かした。

またすーっとおちてくる。
ダメダメと、手の甲でギューギュー目をつぶしてみる。

しばらくして、突然

「ごめんね。」

お兄さんが私の肩に手を置いて静かに言った。

その声聞いたら、一気に涙が溢れてしまって止まらなくなってしまった。

いつのまにか、みんなも集まって来て黙っている。
しばらく背中をなでられていた。

「今度はさ、ユーフォー踊りやろうよ」

お兄さんが大きな声でいった。

やろうやろう

私を引っ張って、踊りの輪の中へ無理矢理に連れて行かれた。

「葉巻型ユーフォー、タコ型ユーフォー、洗濯板型ユーフォー!!」

みんな優しい!

優しいから、泣きたくてたまらない。

何もなかったかのようにして大笑いしながらユーフォー踊りは続いた。

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