2017年9月2日土曜日

拷問にあったおヒナさま

節分も明け、早めに雛人形を飾ることにした。
もちろん段飾りではなく、大きなガラスケースの中に着物を着たお雛さまが二人座っているというものだ。

お雛さまのつるつるした長い髪は床につくほどで、きれいに切りそろえられている。
手には扇子を握りしめている。

ガラスケースの端っこにはネジがついていて、それを回すとお雛祭りの曲のオルゴールが流れてくる。
愛らしい音だ。

母がお雛さまを買ってくれたのだが、
目が見えない私でも楽しめるようにとわざわざオルゴールのついたものを選んでくれた。

押入れの奥から大きなダンボール箱を引きずり出して箱から人形ケースを取り出した。

おかしいよ!お雛さま!
反対だよ!!

えっ?あっ!

確かに底になるはずの幅広木枠が、なぜだか上側になっている。
底板もむき出しだ。

側面のガラスをそっと開けてみる。
おヒナさま二人が天井から逆さまになっていた。

どうやら、お雛さまたちは床に糊付けされていたようで
床の天井から優雅にお座りになったまま、
張付けの逆さ吊りという拷問にあっていたのだ

この1年間と言う長い間、堪えてきたんだ。

慌てて上下を逆にもどした。

お雛さまたちの着物は貼り付いているのか、それほど乱れてはいなかったのだけれど、長い黒髪は1年間の拷問に耐えられず激しく逆立っている。

子供たちは、

「いいこ、いいこ」

と、頭をなでてみるのだが、逆立った黒髪はなだめることができなかった

仕方ないので紙で丸い輪を作り、冠にして黒髪を抑えておいた。
さぞかし苦しかったろう。

引っ越しの時、ふたが下になっていたので逆さまだと思って、夫が気をきかせて逆さまにしてしまっておいたとのことだった。

1 件のコメント:

  1. なるほど!お雛様はオルゴール付きなもんと思っていたが、それはおがばーちゃんの配慮だったんだね!すごいや!おがばーちゃん❤️愛をひしひしと感じるね!孫へのプレゼントの中にも子供への配慮。大好きすぎるわー。おがばーちゃん❤️

    お母さんは冠って書いてあるけど、私にはお雛様がハチマキしてるようにしか見えなかった記憶!爆

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