5カ月の男の子の赤ちゃんをだっこさせてもらった。
腕も足もむっちり太っていて、パツっと柔らかい張りがある。
足の裏はうっすらと汗をかいているようだ。
足の指の腹が5粒きっちり並んでいる。
赤ちゃんのにおいがする
着ている洋服やよだれかけもよくよく触ってみる。
なにか刺しゅうがしてある。
かわいい洋服なんだろう。
ずっしりと重たいし、動くからこわい。
私が高校生のときのことだ。
ずっと上の全盲の先輩が放課後、先生方に挨拶に来ていたのだ。
先輩はバンドを組んでドラムスをしていた、カッコイイ弱視の人と結婚したのだ。
「どっちににているかな?眼元は?口元は?」
と、先生方があれこれとにぎやかに説明してくれる。
「私も先輩みたいなお母さんになれるかなあ?」
そして私は矢継ぎ早にに質問をしまくっていた。
ご飯は作れるか、お産ののとき目が悪くても大丈夫だったのか。
離乳食どうやってあげてるのか。
先生たちが、私の背中をなでながら
「あんただってその時になればできるから大丈夫よ!」
と 言いながら笑っている。
先輩はほんのりいい匂いがしていた。
ずっと静かに笑っていて、すてきだ。
先輩は坊やをおんぶして、杖の音をカチカチさせながら校門を出ていった。
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