私が小学1年生の時から生活していた盲学校の寮は6人部屋だった。
たたみ12畳に、作り付けの押入れとロッカーと机が6個づつ畳をぐるり囲んでいた。
窓は南向きで、ベランダに布団も干すこともできた。
大きな窓開けると、すぐ前の林の空気が流れ込んできて気持ちがいい。
小中高、各学部ごとに縦割りされているんで、きょうだいのような感じだ。
6時半、起床で点呼が終わると掃除が始まる。
私は、それっそれっとばかりにほうきを大きくスイングさせて、音高く畳をこすっていく。
みんなは、椅子を出したり引っこめたり、机の下の荷物を上に上げたりしてほうきの道を作っていく。
「あら!それじゃゴミが集まらないでしょ。」
廊下から寮母先生が部屋に入ってきて、私の手の上から先生の冷たい手を添えてくる。
ほうきを跳ね上げると、ほこりも一緒に舞い上がってしまうってこと。
ほうきの面をたたみに直角に当てて、ほこりを押さえつけるように静かに穂先を滑らしていく。
ほうきを送り出したら、ほこりを押さえつけるようにする。
先生がお手本を聞かせてくれる。
小さく優しいほうきの音だ。
さらさらとせせらぎのようだ。
ほこりは風が吹く時にだけ舞うんじゃなく、
乱暴に扱ったほうきの先でも舞い上がるんだそうだ。
それが朝日の中にきらきら見えるらしい。
盲学校の先生は私たちが出来ているようだけれど、本質がわかってないって所をちゃんと見つけてくれる。
気が付いてくれる。
こういう大切なこと、教えてもらえてよかった。
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