義理の父が亡くなった。
お通夜には大勢の親せきやら、近所の人やらたくさんいた。
私は仮病使って行きたくなかったが、仕方なく喪服をきて部屋の隅に小さく四角く座っていた。
義理の母や兄嫁は挨拶したり、お茶を出したり、片付けたり、忙しそうだ。
夫は久しぶりに会う親せきや友達たちと話が途切れない。
子供たちは外に行っていて、ちっとも戻ってはこない。
親せきの人が私にお茶を渡してくれた。
空っぽの手より、お茶碗持っていたほうがいい。
温かいお茶が私をなぐさめてくれる。
でも、トイレに行かないようになめるようにお茶を飲む。
空にしてはいけない。
嫁である私は、お茶1杯飲むことしかできなかった。
すぐそばのおしゃべりも遠くに聞こえる。
長い長い時間が過ぎ、やっと2階で喪服を脱ぐことになった。
喪服は借り物なので、バックに入れてすぐ送り返すんだ。
私は着付けを習っていたので綺麗に喪服を畳むことができた。
「あら、着物畳めるの?すごいじゃないの。じゃあこれ、お願いね。」
親せきのおばさんが、脱いだ着物を渡してきた。
何枚かの着物がきた。
兄嫁のものもきた。
私は最後の最後、畳みにうずくまって何枚かの喪服を正しく畳み、同じ大きさに揃えて重ねていった。
みんなが感心してくれているのが分かる。
着付け、習っていてよかった。
私もひとつ、できることがあった。
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