2017年10月2日月曜日

着付け

義理の父が亡くなった。
お通夜には大勢の親せきやら、近所の人やらたくさんいた。

私は仮病使って行きたくなかったが、仕方なく喪服をきて部屋の隅に小さく四角く座っていた。

義理の母や兄嫁は挨拶したり、お茶を出したり、片付けたり、忙しそうだ。

夫は久しぶりに会う親せきや友達たちと話が途切れない。
子供たちは外に行っていて、ちっとも戻ってはこない。

親せきの人が私にお茶を渡してくれた。
空っぽの手より、お茶碗持っていたほうがいい。
温かいお茶が私をなぐさめてくれる。

でも、トイレに行かないようになめるようにお茶を飲む。
空にしてはいけない。
嫁である私は、お茶1杯飲むことしかできなかった。
すぐそばのおしゃべりも遠くに聞こえる。

長い長い時間が過ぎ、やっと2階で喪服を脱ぐことになった。
喪服は借り物なので、バックに入れてすぐ送り返すんだ。

私は着付けを習っていたので綺麗に喪服を畳むことができた。

「あら、着物畳めるの?すごいじゃないの。じゃあこれ、お願いね。」

親せきのおばさんが、脱いだ着物を渡してきた。

何枚かの着物がきた。

兄嫁のものもきた。

私は最後の最後、畳みにうずくまって何枚かの喪服を正しく畳み、同じ大きさに揃えて重ねていった。

みんなが感心してくれているのが分かる。

着付け、習っていてよかった。
私もひとつ、できることがあった。

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