てぬぐいが1枚づつ配られた。
長く半分に折って、むこうまで波縫いで真っすぐに縫っていく。
私は糸通しは得意だから、さくさくちくちく一気にむこうまで縫って先生に見てもらった。
先生は、シュウーっと糸をしごいてからテーブルに広げて、私の指を持ってヘビのようにくねくねした縫いあげた跡をなぞらせていった。
「真っすぐに縫いなさいっといったでしょ。
真っすぐに縫うためにどんな工夫をしたんでか?」
線を引いたって見えないんだし、どうしようー。
周りの友達はセロテープを貼って、その脇を縫っていく人や、
もう長く半分に折って、その山にマチ針をたくさん刺していってそれを目印に縫っていく人。
いろいろだ。
私はどれも面倒に思ったので、今度はてぬぐいの端っこから1センチ位のところをふちと針との間を指先の腹で幅を一定にするようにして丁寧に縫っていった。
結局、先生は私の方法を褒めてくださった。
「身の回りのことだって、社会に出てからったって困ることはたくさんあります。
どういう工夫をどんなふうに工夫できるかで、色んなことが便利になったり、ラクにできるようになったり自分でできるようになったりするんです」
あの当時はよく分からなかったけれど、確かにその通りだ。
会社では、エレベータに点字を貼らせてもらったから、一人でも大丈夫だ。
タッチパネル式のカギも、特別にカギを貸してもらってる。
家の中だって、印のテープや輪ゴムはあちこちにある。
これからもより良い生活が送っていけるように工夫を大切に考えていこう。
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