「オーブンの機能についてお話した時に、目の見えない私でも温度設定ができるものを入れてくださいと、お願いしたはずですけれど。」
新ピカのシステムキッチン。
はめこまれたオーブンの前で、電気メーカーの人と私は座り込んでいる。
キッチンの上部は IHヒーターで煮炊きが出来るようになっている。
その下の戸棚のあるところにオーブンがはめこまれているんだ。
「温度設定はタッチパネルではなくて、このようにダイヤルを回すことで変えられます。」
オーブンの扉の脇にある、出っ張った大きなダイヤルを私は指先でゆっくり回してみる。
左右どちらにもカチッカチッと小さなブレーキをかけながら、いっくらでも回っていく。
もうひとつのダイヤルは、レンジと温度と時間との切替えで、3回ブレーキかけながら ダイヤルが回るから、モードの変更はわたしでもできる。
あとひとつのボタンが決定だ。
メーカーの人がダイヤルを回す。
「タッチパネルではなくて、ダイヤルで選択するようになっていましたから。」
ダイヤルが三つだけの簡単操作だから、一般の人たちは分かりやすいことだろう。
表示が読めないから170度を選ぶことができない。
500ワットを選ぶことができないんだ。
やはり仕方のないこと。
私は子供の目を借りて、早速パウンドケーキを焼いてみた。
子供の目を借りるってことは、子供たちのいる夕飯時になる。
ケーキは1時間くらいも焼かなくてはならない。
「あつっ」
IHで料理をしようと、IHに向かうとひざがオーブンの熱で熱い。
すねが焼ける。
オーブンのガラスとびらはけっこう熱い。
オーブンが低い位置にあるから子供にだって熱くて危険だし、
わたしだってショートパンツじゃキッチンには立てないってことだ。
これって表示が見える見えないだとかいう以前の問題じゃあないの?
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