ジリリリリ
非常ベルだ。避難訓練の放送が流れている。
寄宿舎ではこうして寝ている間にも訓練がある。
とは言っても、起床時間の少し前だったりするから、みんなにとってもいい時間だ。
部屋は小学生だと1年生から6年生までの縦割りで、弱視の子と全盲の子とがうまく割り振られている5人か6人の部屋だ。
上級生がそれぞれの居室にある下駄箱のところに備え付けられてある避難ロープを持つ。
ほかのみんなは、さっとスリッパを履いて、さっと廊下に出て小さい子じゅんにロープを持って一列になる。
慌てているとスリッパがあっちこっちで分からなくなってしまう。
たいがいの盲人は手探りでスリッパを見つけるのが面倒だから、ほぼ脱ぐ位置が決まっている。
端っこは誰で、こっちの端っこは誰という具合できちんと揃えられている。
なので、目が見えている人のように自分の履きものに足を差しこむことができる。
大勢集まってしまうと、そういうわけにもいかずに座り込んで手探りしなければならないけれど。
「みんな掴まった?みんないるね?」
目が見えないから声で確認し合っていくから廊下はガヤガヤうるさいし、ごった返している。
発煙筒もたかれるから、本格的な訓練だ。
私たちはスリッパのまま指定された広場へ行って、部屋ごとに並んで報告をする。
話がおわると男子も女子も小学生も高校生も、ロープに掴まって一列になって部屋に戻っていくんだ。
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