「もーいいかい?」
「もういいよ。」
私は寮の部屋の扉を開けて、部屋じゅうあちこち触りまくる。
学校が終わると、小学生は部活もないから早々と寮に戻ってきて、みんなとこうして色んなことして夕食までの時間を過ごしていく。
私は押入れを開けて、おふとんのあんこになって隠れてはないかと、いちいち手を突っこんで探していく。
机の下、カーテンの中。
いくら探しても見つからない。
「みんな、どこにいるの?天袋は危ないから、登れないよお。」
カタリっと音がした。机の上だ。
私は机の上を端から勢いよく触っていく。
きゃあ!と言って、笑いながら畳のうえに飛び降りてくる。
みんなは、私が全盲だから机の上に音を立てずに立っていたんだ。
「ずるいよ!机の上じゃ、隠れていることにならないじゃない!」
わたしは抗議する。
「でもさ、見つけられないんだから隠れているってことでしょ?」
よくよく聞いたら、一人は私の後ろをソロリソロリ後をつけていたというし。
机の上をちょっと私が触った時は、静かにヒョイッっとヒョイっと足を上げて逃げていたと言う。
「それ、ひどいじゃない!ひどいよ!ずるいよ!」
弱視のお友達としたかくれんぼ。
大人のなった、いま。
ずるいっと今でも思う。
けれど、何が誰が、どうずるいのかが未だに分からないでいる。
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