2017年11月23日木曜日

かくれんぼ

「もーいいかい?」

「もういいよ。」

私は寮の部屋の扉を開けて、部屋じゅうあちこち触りまくる。

学校が終わると、小学生は部活もないから早々と寮に戻ってきて、みんなとこうして色んなことして夕食までの時間を過ごしていく。

私は押入れを開けて、おふとんのあんこになって隠れてはないかと、いちいち手を突っこんで探していく。
机の下、カーテンの中。

いくら探しても見つからない。

「みんな、どこにいるの?天袋は危ないから、登れないよお。」

カタリっと音がした。机の上だ。

私は机の上を端から勢いよく触っていく。

きゃあ!と言って、笑いながら畳のうえに飛び降りてくる。

みんなは、私が全盲だから机の上に音を立てずに立っていたんだ。

「ずるいよ!机の上じゃ、隠れていることにならないじゃない!」
わたしは抗議する。

「でもさ、見つけられないんだから隠れているってことでしょ?」

よくよく聞いたら、一人は私の後ろをソロリソロリ後をつけていたというし。
机の上をちょっと私が触った時は、静かにヒョイッっとヒョイっと足を上げて逃げていたと言う。

「それ、ひどいじゃない!ひどいよ!ずるいよ!」

弱視のお友達としたかくれんぼ。
大人のなった、いま。

ずるいっと今でも思う。
けれど、何が誰が、どうずるいのかが未だに分からないでいる。

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