母から電話があった。
聞けば、昼間に義理の父と母が来たという。
嫌な予感がした。
私のこと嫌がっているのに、何の用事?
と、話をきいてみると。
ラドン温泉が体にいいからと、勧めに来たんだという。
キャディーさんは足も体も疲れるから、ラドンの湯に入れば楽になるという。
脳卒中で半身付随のとうちゃんにもいい、と言うからという。
母の1カ月分の給料くらいじゃ足りないほどにもなる、高価なものだ。
「買っちゃったの?」
買わないわけにもいかなかったらしい。
私が世話になってると思えば、そうせざるを得なかったんだろう。
それはちょうど八角形の体重計のような形のもので、湯船のなかに沈めておけばその中に入っているラドンで温泉になるというんだ。
ちょうどその頃、となり町の東松山にラドン温泉がブームでシャトルバスが行き来するほどの賑わいがあって、温泉好きな母もファンの一人でよく通っていたこともあって、ラドンというのに抵抗がなかったんだろう。
そんなことがあってから。
いつだったか実家で探し物をしていて、押入れの中をかき回していたら、重たい四角形の箱をみつけた。
そっと開けてみたら、ビニールに入った八角形のラドン温泉が入っていた。
説明書のツルツルしたパンフレットも挟まれていた。
おかあちゃん、こんな高いもの二つも買ってくれてたんだ!
元通りにフタをして、押入れの奥にしまいなおしておいた。
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