2017年11月14日火曜日

しせい

姿勢をよくして、ぼんやり歩いていたばっかりにまた壁の角に顔をぶつけてしまった。
大して痛くはないけれど、左手で目の脇を触ってみると、指先がぬるっと濡れてくる。


会社の最寄りの駅の改札を出てまっすぐに歩いていく手前に、ぶつかりやすい壁のカドがある。
もう何回このカドに顔を切ってもらったことだろう。

全盲の子は姿勢が悪いと幼いころから先生たちからしつこく言われ続けてきた。
下向いて、背中が丸まって、これじゃかわいい服着てもかっこ悪い、と私たちは言われ続けてきた。


私たち全盲は、こうして姿勢よく歩いているとこうやって顔にケガをすること、痛い目に遭うことがしょっちゅうだ。


からだの前で白杖を左右に振って歩いていくけれど、ちょうど右に振り切ったところで柱なんかのカドに顔をぶつけてしまう。
特に駅の柱は鉄だし変な形で顔を切りやすい。


雑踏の中では衝突したりされたり、大きなひとの肩や荷物なんかでほっぺに擦り傷を作ってもらったり、はじきとばされたりと色々だ。


外を一人で歩くときには、うっかり良い姿勢で歩かないように安全姿勢を取って歩かなきゃだ。まずは衝突した時には頭から行けるように下を向く。

うっかり良い姿勢を取ってしまっても、顔を守られるようにキャップを被ってつばで顔を守ってもらう。


左手はグーにして、指を逆に折られないようにして、ヒジをはって防衛の姿勢をとる。
意識は耳に集中。
足で踏み当てた点字ブロックの位置で自分の方向を調整する。


時には歩数を数えながら進んで、目印のない曲がり角でもぴたり止まって曲がっていけるようにするんだ。

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