2017年11月3日金曜日

鳥の足

子供たちが小学生になったんで、家族で大島まで旅行に行った。

船に乗ってみたいって言うんで、浜松町から船に乗って行ったんだ。

大島ではうさぎの運動会が良かったらしい。
係りの人が合図を送ると、山や野原のあちこちから沢山のウサギが走り出てきて目の前に広がる野原で駆けまわっているという。

何百匹ものうさぎ達のなまの運動会だから、子供たちは応援に大興奮だ。
何列ものうさぎたちの列が輪になったりほどけたり、2列になったりばらけたりとしているらしい。
どんな仕掛けになっているんだろう。

それからりすの森へ行ってから、小さな動物園みたいなところに行った。
ひつじやうさぎ、犬なんか触ることもできた。
そのあたりに放し飼いになっているニワトリなんかもいた。

クジャクはちょうどきれいな羽を開いて踊ってみせてくれた。
たまにしか踊ってくれないそうだからラッキーだった。

七面鳥だったか、ケケケーっとおもちゃのラッパ吹きまくっているような、変わった鳴き方なんかしている鳥もいた。

柵に掴まって覗いては、またお隣の柵へとゆっくり見ていく。

子供が説明してくれる。
一つだけカンタンな質問をしてみる。

「さあ次へ行こうか?」

三女の手を引いて歩きだしたとたん、
目の前でケケーっと鳥が鳴いて、私の靴のうえに足を乗せて襲いかかってきた。

私は悲鳴を上げながら、子供を振り払って自分だけ白杖にぎって後ろへ倒れこみながら
人ごみの中へと走りこんで行ってしまった。
なんて薄情な親だ。

怖かった。
ほんとに、ほんとに怖かった。

後ろからパパと子供たちが大声で笑いながら駆け寄ってきて、私のことを捕まえた。

「パパがね、鳥の鳴き声したんだよ。
で、私がパパの杖の先っちょで、お母さんの靴チョチョンって突っついたんだよ。」

冗談じゃない。

「全盲が全盲をバカにしないでよね!!」

その後ずっと私は許してやらなかった。

悔しくて悔しくて、ずっと口をきいてやらなかったんだ。

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