2017年12月1日金曜日

銀歯

押入れを片付けていたら、段ボールにぎっしり点字の台本が出てきた。
なつかしい。

私は中学生の時に北川智繪(きたがわ ちえ)さんの
「おかあさんといっしょ」のチャムチャムの声の人や
喜多道枝(きた みちえ)さんの「フランダースの犬のネロの声」たちの語りを聞いてからすっかりはまってしまって、
それ以来、まねをして人前で童話や民話を語ってきたりしてきた。

そんなわけで、たまに近くの小学校なんかの国語の時間に呼ばれてお話をひとつふたつしたこともあった。

最後はお決まりの質問コーナー。
小学生の質問だから、バナナの皮は剥けるかとか、お箸は持てるかとか、お金はあるのかとか、パンツのうしろまえはどうして分かるかとか。

「他に何かあるかな?」

先生が次の質問を聞く。

「銀歯は何本ありますか?」

「え?いくつ見えました?」

私は平然を装う。
その子は「いっぱい」と、答えた。

まいった。
口の中ってそんなに良く見えるもんなんだ。

この時以来、きっぱり語りは辞めてしまった。

世の中、白より銀の方が価値が高いと思っていたけれど、
こちらの世界では白いのは銀より価値が高いのにびっくりしてしまった。

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