2017年12月5日火曜日

校内

盲学校の敷地内には学校と寄宿舎の2棟があって、校庭や前庭、プール、体育館、あちこちに花壇、校庭の端っこにはすこしの遊具、体育倉庫なんかがある。

校内の移動は弱視の子は少し見えるし、慣れてもいくから白杖を持つ必要もない。

だけれど全盲の私たちも小学生から専門科の大人の人たちも、みな白杖を持ってなんか歩いている人はいなかった。

いまでこそ分からないけれど、40年前には点字ブロックなんていうのもそんなに普及していなかったから、校内にもなかった。

だけれど校内部屋の移動だって、体育館への渡り廊下だって、寄宿舎内のほかの棟にあったお風呂へだって洗濯場へだって杖なしで歩いていた。

ちょっと方向が分からなくなると、靴でパンパン地面を叩いたり、男の子なんかは指をパチリ鳴らしたりして、その響く音を聞いて今いる位置を感じ取っていた。

それこそ勘で歩いていた。

それでもひどい事故はなかったようだ。
慣れている家の中はもちろん白杖なしだ。

間取りがちゃんと分かっているから、目が見える人のようにチャッチャ動き回ることができちゃうんだ。

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