2017年12月22日金曜日

追試

「今朝、今日はテストだからっと言って家を出たんですけれども。」
私はそう言って電話を切った。
長女の高校の担任の先生からの電話だった。

「ただいまああ」

寒い寒いと言いながら長女が帰ってきた。

「テスト、どうだったの?」

わたしは怒りを精一杯抑えて、低い声でかまをかける。

「仮免、うまくいったよ。」

「えっ?仮免って?今日、世界史の追試だったっていうじゃないの?」

「あっいけない!そうだった、すっかり忘れてたあ!」

「わすれたって?これ落としたら卒業できないっていうじゃないの?」

「そうそう、卒業できないんだよ。」

明るく答えて、動じることもない。

冗談じゃない。
頭にきて、あたまが爆発寸前だ。

第一、車の免許を取りに行っているなんて聞いていないし、
そのお金はどうしたんだか。

それに、仮免ってなに?
卒業できないってふざけるんじゃない。

成績が悪くて、年じゅう遅刻に早退。
どこにいっているんだか、そんなんで何度か学校にも呼び出されているんだ。

落第点取らない程度に勉強しているからさ。
勉強なんて60点だけ取れればいい、勉強しておけばいいんだからさ、心配しないで。
と、ふざけたことばかり言っている。

挙句の果てにはこんなことになっちゃって、追試のチャンスも流れてしまった。
どうするの?

なんとかなるよ。

焦る様子もない。

もうわたしはいらいらむしゃくしゃ、落ち着かない。

がみがみ文句を言っていたら返事もない。

「お姉ちゃん、向こうの部屋で本読んでるよ。」

いつもコレだ。

文句を言っているとこっそり逃げていってしまうんだ。

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