「今朝、今日はテストだからっと言って家を出たんですけれども。」
私はそう言って電話を切った。
長女の高校の担任の先生からの電話だった。
「ただいまああ」
寒い寒いと言いながら長女が帰ってきた。
「テスト、どうだったの?」
わたしは怒りを精一杯抑えて、低い声でかまをかける。
「仮免、うまくいったよ。」
「えっ?仮免って?今日、世界史の追試だったっていうじゃないの?」
「あっいけない!そうだった、すっかり忘れてたあ!」
「わすれたって?これ落としたら卒業できないっていうじゃないの?」
「そうそう、卒業できないんだよ。」
明るく答えて、動じることもない。
冗談じゃない。
頭にきて、あたまが爆発寸前だ。
第一、車の免許を取りに行っているなんて聞いていないし、
そのお金はどうしたんだか。
それに、仮免ってなに?
卒業できないってふざけるんじゃない。
成績が悪くて、年じゅう遅刻に早退。
どこにいっているんだか、そんなんで何度か学校にも呼び出されているんだ。
落第点取らない程度に勉強しているからさ。
勉強なんて60点だけ取れればいい、勉強しておけばいいんだからさ、心配しないで。
と、ふざけたことばかり言っている。
挙句の果てにはこんなことになっちゃって、追試のチャンスも流れてしまった。
どうするの?
なんとかなるよ。
焦る様子もない。
もうわたしはいらいらむしゃくしゃ、落ち着かない。
がみがみ文句を言っていたら返事もない。
「お姉ちゃん、向こうの部屋で本読んでるよ。」
いつもコレだ。
文句を言っているとこっそり逃げていってしまうんだ。
0 件のコメント:
コメントを投稿