そんなこと思いもよらなかった。
安全、それだけを考えていた。
長女は間もなく2歳になる。
まだ1歳だけれど、私が厳しく言うせいか一人であっちこっち行ってしまうようなことはない。
道を歩いていても、1歳ながらも私の指をにぎって引っ張りながら水たまりは避けて歩いてくれるし、路上駐車の自転車や車なんかも避けて歩いていく。
まだまだ1さいの歩き始めた子でも私が目が見えていないってことがちゃんと分かっていることにびっくりしている。
もちろん一緒に歩きながら私が杖を持っていて自転車にぶつかったりすると
「お母さんは目がみえないから自転車と待っていたらこうやって避けて歩いてね。教えてね。」
などと、その都度説明はしてきたけれども。
長女を保育園に迎えにいくと担任の先生から話があると言うので園庭の隅っこでお話を聞いた。
大勢の子供たちの声が賑やかだ。
先生はとても心配して下さっていた。
長女が庭へ連れていってもお部屋の中でも、ゆっくりゆっくり歩くだけで走ることができなくなっていると言う。
先生方がこっちへおいでといってもゆっくり歩くばかりで走ってこないんだという。
普通なら嬉しくってトコトコ早足で歩きまわるんだそうだ。
「お母さんが目が不自由でいつも手をつないで走らせないようにしているからではないでしょうか?走り回ることはこの時期の子供の成長の中ではとても大切なことですからお休みの時など、どなたか目の見える方にでもお願いして外遊びして自由に走りまわれるような環境をたまには作ってあげてください。」
おむつ替えや離乳食、絵本を読むなど、何とか工夫に工夫を重ねて乗り越えてきた。
走れないって?
他の子たちと追いかけっこができないって?
そんな…!
本人の安全とこんな小さな1歳の子に私の安全までをも背負わせてしまっていたんだってこと。
私がこの子の足かせになっていたなんて。
考えたこともなかった。
先生から早いうちにこのような大切なこと知らせてもらってよかった。
私はさっそく改めた。
母が来て遊んでくれるときにはよくよく話して、ひとりで走れるように声をかけてくれるようにと。
また、目のみえる人たちと会う時にはこっちおいでをたくさんしてもらえるようにとチャンスをみつけてはお願いしていった。
それでも小学校に行けば、もちろん早くはないけれどそれなりにはしれていたようで、もっと大きくなれば持久走だってやらされていたのだから、なんとか帳尻をあわせることができた。
歩き始めの子供の安全を守ることとは必ず手をつないでいなきゃいけないし、勝手に歩き回っては困る。
だけどそれは、自分達が足かせになってしまうってこと。
今考えてもどうしたらいいんだか難かしい。
でもこれで良かったんだと思う。
道路を歩く時、必ずそばにいてくれたから、事故に遭うこともなかったのだから。
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