クロカンっと言われている、このスキーは盲人の為に作られたものかと思ったら、そうではないとのこと。
子供たちが小学生のころ家族で参加させてもらったクロカン合宿。
あらかじめ雪の上に、足幅の2本の線路が特殊な雪上車によって5センチくらいか、雪面を圧縮しながら跡をつけていく。
それはカッターと呼ばれている。
その窪まされたカッターに両足につけたクロカン専用のスキー板をはめこんで、そのカッターを頼りながらゲレンデを滑っていく。
そのコースはグネグネとくねりながら、3キロとか5キロとか描かれている。
地上絵のように。
で、そのカッターの50センチほど離れてもう2本のカッターが付けられている。
そちらにはガイドの人が並ぶようにして滑っていくんだ。
私たち盲人は、そのカッターのところまではガイドの人に掴まって歩いて行くけれど、そのカッターのところに行ったらそれぞれカッターに乗って一人で滑っていく。
ほんの少しだけガイドさんが前の方を滑っていく。
声を出しながら滑っていく。
「ゆっくり2時の方へ!坂だから少しづつ!急な坂、右へカーブ!」
などと大きな声を出しながら滑って行ってくれる。
私たちはその声を頼りに方向を確認しながら足の板はカッターから外れないようにと気をつけながら滑っていく。
ガイドの人はもちろん慣れている方たちなので、振り返ってはストック後ろへ、もっと跳ねてとか、ヒザを曲げてとか胸張ってとか、言って下さる。
空気は冷たく、広々したゲレンデ。
ガイドの人の声があるとはいえ、スピードが出るから怖い。
すねのところに分厚いブーツが当たって痛いけれど、じっと我慢してヒザを曲げて、耳をすます。
ゆるゆると滑り出す。
板の下の雪はゴトゴト、ゴソゴソなでているようにそのでこぼこ模様が足裏でわかる。 急な坂になるとふわっと体が浮いたようで、またこわい。
カーブではみんなカッターを崩しながら転んでいるようで、私も板を引っかけて転んでしまう。
「待ってくださぁい!」
転んだらすぐに声出さなきゃ置いていかれてしまう。
立ち上がって、足板でカッターを探り、その窪みに板を合わせると、また滑っていく。
杖も持たずに風切って滑っていく。
冷たい風は汗のつぶを冷やしてくれて気持ちがいい。
遠くで子供たちの声がする。
子供たちも滑り方を教えてもらっているんだ。
子供たちは目が見えるし、遠くへは連れて行けないから、フリースタイルとかいってクロカン用の板で足を逆ハの字にしながら滑っていく方法を教えてもらっているらしい。
私たちだけじゃスキーになんて来ることはできなかったけれど、大勢の人たちのおかげで家族5人でクロカンスキーを楽しめることができて本当に幸せだ。
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