2018年1月29日月曜日

ザイル

盲人たちの登山のグループがあちこちにある。
登山の醍醐味は景色を見ることだろうと思う。
それでも景色を見ることのできない盲人たちでも登山をしている。

富士山に登ることにした私は練習のために盲人の登山のガイドをしている方にお願いして山の歩き方を教えてもらった。

ザイルって小説の中では知っていたけれど、私もそのザイルを使って山登りをするなんて思ってもみなかった。
その辺の里山でも私たち盲人はザイルを使ってザイルをつかんで歩いていく。

初めて触ったそのザイルはこたつのコードよりも太かったか同じくらいだったか。
しっかりとしたもので布のような手触りだった。

このロープで滑落していく人間を守るのだから、これくらいの太さはいるんだろう。
ガイドさんはその2メートルほどのザイルを自分のリュックの中央の上から下へと2本にしてくくりつけた。

一番下にはしっぽのようにロープがぶら下がっている。
リュックの中央に張られた2本のロープの何か所かには結び目がしてある。

私はガイドさんの後ろに立ち、リュックサックに張られたそのザイルを左手でつかむ。
右手にはストックをもつストックでは足元を確認していく。
リュックとザイルにはガイドさんの歩いていく体の動きと足の運びまでが分かってくる。微妙なゆれだ。
ゴツリゴツリと石を踏む音がしてぐっとリュックが上にあがる。
大きな段だ。
私は張られたザイルの下側の方に手をずらし揺れているしっぽをつかむ。
引っ張ってはいけない。
ザイルは高さと方向を教えてくれる指標だからつかまったらいけない。

私は手探りで段のふちを触り、出っぱっているところに足をかけてよいしょよいしょっと這いつくばって登っていく。

ガイドさんは私の動きがひと息つくまでじっとまっていてくれる。

明日へ続くー

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