2018年2月11日日曜日

洗い物

仕事から帰って台所に行ってみれば、
綺麗に洗い物は片付けられていて、
流しの上はツルツルになっている。

最近はよくこうやって、
綺麗にしておいてくれる。

本当に嬉しいし助かる。

私はこのツルツルの流し台を
触りながら思い出す。

下の子が中学生になって、
私は友達に誘われて
ランニングクラブに入れてもらった。

しばらく経って、
自分でも練習がしたくなって、
裏の公園で夜な夜なヒモを張って、
ぐるぐると円周走で一人で走るようになっていた。

公園の真ん中に杭を打って、ヒモを結び、
それを中心にしてもう1方の端を持って、
その円周を走る
という方法だ。

これをやるために、
パパに走りに公園へ行っていいか
と聞いたら許可が出た。

洗濯機のスイッチを入れてから、
21時頃からやっとの思いで
20分ほども時間をかけて杭を打ち終えて、
1週70メートルを14周、
そしたら逆周りでまた14周
の繰り返しで1時間ほど走る。

杭を抜いて家に戻ればもう23時。

それから洗濯物干して、
どんなに急いでも8キロの洗濯物は
20分以上かかってしまう。

足元に山になっている洗濯物を
また入れてスイッチを押す。

流しのところに行くと
洗い物が山と積まれている。

そっと部屋に行けば、
何やら本を読んでいるようだ。

なんだ起きてるんじゃない。
口には出さず、チェッといらっとする。

私は洗い物をしながら
お米を研ぎながら文句を言い続けている。

「走りに行くこと
私の趣味を認めるって言ったけど、
ちっとも認めてなんかないじゃない。

私の趣味の時間、いるんなら、
洗い物位しておいてくれたって
いいじゃないの!

これって、協力じゃないよ!
ただの放置だよ、無視だよ!

そんなの認めるなんてことには
ならないんじゃないの!

あなたが飲み会だのマラソン大会だの、
やれ水泳だのって
ずーっと私が家事してきてたんじゃないのぉ?」

怒りの涙が食器洗うスポンジを突き抜けていく。

そうだ、明日はお弁当だっけ。
しめじがあったから、炊き込みご飯にしちゃおう。

洗濯が終わった。
ピーが聞こえた。

体の大きくなった娘たち三人分とパパの分。
干しても干しても、なかなか干し終わらない。

それからやっとお風呂に入って、
お掃除して出たら、もう25時ゆっくり過ぎている。


わたしはいつも毎日毎時間
イライライライラしていた。

返事もしたくないし、
挨拶だってしたくなかった。

私は家族の奴隷なんだって思ってた。
主婦って言う鎖につながれていた。

ロープをもって走っている時だけはせいせいできた。

洗濯、片付け、食事の支度
すべてが拷問に感じてた。
そんなあの頃だった。

主婦が仕事をしながら
何か趣味を持つってことは
相当体力が必要なんだ。

寝不足にもなる。

何年もそんな気持ちでいたんだ。
でも今のパパは夫の鏡のようだ。

どんなきっかけで
洗い物するようになったのか
今度聞いてみよう。

毎朝、挽きたてのお茶をいれてくれる。

最高に幸せだ。

時間があっても自分じゃやらない
で淹れてもらえるのを待っているんだ。


毎朝がいい時間の始まりだ。

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