「いやだ!そんなことしたの?かわいそう!わあ!!かわいそう!」
「そんなこと言うならもう唐揚げ食べないでよ。鶏締める時、みんなおいしい鶏肉をみんなに食べてもらいたいって思いながらエサをやってお掃除して育ててきたんだよ。
あれがおいしい、これがまずいってさ。
食べている人たちは好き勝手に言っているけれどさ、ニワトリの首絞める時、きゅうってみんな鳴いているんだよ。
それに自分たちだって手が震えているんだよ。
誰だってこんなことしたくないよお!」
涙声だ。
農業高校に行っている娘だ。
先生は鶏を捕まえて首の動脈のところにナイフをさっと当てて、すぐさまメガホンのような大きな漏斗の中に逆さまにその鶏をいれた。
みんな息を飲んで、真剣に見ている。
すぐ血を抜かないと肉の味が落ちてしまう。
みんな実習だから一人一人生きたニワトリが割り当てられていく。
「うわあ!うーっ!」
女の子も男の子も苦しい声を出していた。
「ニワトリがバタバタ動いているのを抑えつけるのは可愛そうだったよお!」
鶏の足がずらり並んでて、ピクピク動いているのと動かなくなったのがあって!
私は反省した。
鶏肉だけじゃない。
牛だって豚だって魚だって、さばいている人たちは私たちのために苦しい思いをしながらナイフをふるっているんだ。
「文化祭ではね、みんなで育てたニワトリを焼き鳥にして販売するから食べにきてね。 足の先まで味わっていってね。」
文化祭では、その焼き鳥を頂いてきた。
男子生徒が一生懸命説明してくれた。
みんなの涙が味つけしてくれている。美味しかった焼き鳥。
みんなありがとう。
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