「駅でね、男性に声かけられて、
ナンパみたいのされたんだよ。
目が綺麗なのに、目が見えないなんて
かわいそうですね
って言われてね。」
学生の時の友達の話だ。
お茶しませんかって。
いいな、私ナンパされたことないから、
すっごく羨ましかった。
「目が綺麗って言われたんだけれど、
私義眼なんだよね。
最近の義眼って、頭を傾けたりすると
それに合わせて黒目もちゃんと動いてくれるんだって。
だから焦点が合っているように見えるらしいよ。」
彼女は面白がって、
お茶飲みに行ったんだって。
で、また目のこと綺麗だ
って言われたんだけれど、
義眼のことは黙っていたそうだ。
彼女は私の手のひらに
義眼をはずして見せてくれた。
小さなスポイトみたいので瞼の下から
ビー玉の半分に切ったようなものを
取り出して見せてくれた。
真ん丸の球を半分にしたものだった。
つるつるしてガラスのような感じだった。
「ね、この義眼の目の奥どうなってるの?
目の中に指いれたら、脳とか触れるの?」
「まっさかぁ~。
耳の穴に指いれたような感じ。
奥にはちゃんと粘膜上の壁があるよお。」
痩せたり太ったりすると、
義眼がゆるくなったり
きつくなったりもするとのこと。
毎晩外してきれいに消毒したりするんで面倒らしい。
でも目が綺麗って言われると、
ありがとうっと言って
義眼のことは話さないでいるんだそうだ。
例え、義眼だって目が綺麗って言われたら嬉しい。
それに義眼は体の一部になっているんだから
あえて言う必要もない。
彼女も全盲だけれど
顔の中で好きなところは目なんだって。
どうして?って聞いたら、
みんなが綺麗って言ってくれるから。
義眼のおかげでなんかきれいでいられるようだから
って言っていた。
「ね、義眼だと玉ねぎむいたとき涙でるの?
悲しいとき涙でるの?」
「玉ねぎ切っても、
ちっとも痛くならないし涙もでないよ。
でもね悲しい時は
ちゃんと涙出てくれるんだよ。
悲しくて泣いているのに、涙出てくれなきゃ
泣きのテンション下がって泣くになけないよおぉ。」
私は目の神経を悪くしているんで、
玉ねぎ切っても涙はちゃんと出てくるけれど、
義眼の人たちはそういうことらしい。
盲人っといっても人それぞれなんだ。
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