「まさか!うそでしょ!そんなことってあるの?」
東京マラソンでの手荷物検査のときのことだ。
友達のこと。
東京マラソンは本人確認のためにパスポートが必要だし、レースの当日には、スタートラインに並ぶまえに手荷物の検査が行なわれる。
私はサーモスのポットに温かいミルクティーを作って持っていっていた。
「これ液体が入っているので没収させていただきます。」
「え?それ3500円でこのあいだ買ったばかりなんですよ。じゃここで私いま飲んでみせますから没収しないでください。ガソリンなんかじゃないんですから」
私はお願いというか、抗議っていうか、テーブルの向うの男性スタッフに言った。
規則ですから、とのこと。
ポットは没収されてしまった。
もちろん返ってくるなんてことはなかった。
で、友達のはもっとひどかった。白杖を折り畳んで持っていたら、それが凶器だと言われたんだそうだ。
盲人が持っている白杖を凶器と言って周りのスタッフも何も言わなかったという。
「で、どうしたの?」
彼女は凶器なんかじゃなくて、歩くのに必要なことは分かるでしょ?
と言っても、相手は引かなかったんだ。
そしたら彼女の伴走者がみかねて、大きな声で
「盲人が持っている白杖を凶器なんていうのは非常識にもほどがある。
それほど凶器というのなら、事務局と話そうじゃないか。」
と、ちょっとすごんで言ったら、
「じゃあ、今回だけは。」
なんて言ってやっと通してくれたんだそうだ。
白杖を凶器と思っている人がいるってことにびっくりだ。
たしかに凶器にしようと思うなら凶器になるかもしれないけれど、そんなこと言ったら何だって凶器になってしまう。
それこそ狂気の沙汰だ。
テロへの過剰反応で私のミルクティーはガソリンにされてしまって、友達の白杖は凶器にされてしまった。
以前、ボストンデテロがあったから仕方のないことなのかもしれないけれど、何だか残念だった。
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