走りだしてから7時間半ごろか。
47キロ480キロくらいかな。
ザザブーンっと右の向こうから底力のある波の音が聞こえてきた。
ザザブーン!
ベースが効いているような重々しい海の音だ。
波に背を向けて、いよいよ自然遺産の西部林道に入っていく。
地面のアスファルトはやすりをかけたようにしわも段もなく走りやすい。
安心だ。
山の中へと奥へと標高を上げていく。
まわりにしだがあるというんでしゃがみこんで触ってみた。
もみのりのような細長い葉っぱが行儀よく葉脈の両側に1列に並んでいる。
これがしだっていうらしい。
それが足元から高く上のほうまで茂っている。
しばらく行くと、大きなふきの葉っぱがあった。
分厚いはっぱで直径が80センチほどもある。大きい。
これなら太田道灌も雨に濡れずに行けるだろう。
「シカだ。すぐそこ5メートルほどのとこにシカがいるよ。」
足音をさせないように気をつけて通り過ぎる。
運が良ければシカと屋久島のサル、『やくさる』が出て来てくれるんだそうだ。
ラッキーだ。
触ることは出来ないけれど、すぐそばにいると言われて、なんか野生の『気』なんてあるかと思ったけれど何も感じなかった。
ただただひたすら早歩きで登っていく。
1月の第2日曜日、私ははるばる屋久島のエコ100キロウルトラマラソンに初めて参加したんだ。
この島はすべて水力発電でエコのきれいな島をみんなで目指しているんだそうだ。
標高300メートルまで7~8キロくらいはあったか?
ほんとに3角定規を登っていくようだ。
走れないからただただ早歩きしていく。
周りが亜熱帯のような風景だそうだ。
木の枝が南国っぽくくねっている。
『あ!やくさるが10匹ほど道の真ん中でひなたぼっこしながら、毛づくろいしているよ。
目をあわせないように。大人しいから大丈夫ですよ。」
地元のスタッフの人がそばに来て、さるたち側を走ってくれる。
人間が通っても驚きもしないらしい。
のんびり寝そべってるんだそうだ。
「どれくらいの大きさなんですか?」
7カ月の赤ちゃんくらいかな。
私はサルと言われても犬のような形と言われてもどうも分からない。
モンチッチっというヌイグルミでしかサルのイメージができないけど。
まあ分からなくてもいい。いつものことだから。
サルたちがいるところはもうジャングルそのものらしい。
ジャングルと林、どう違うかも分からない。
けれど、ジャングルの中にいると言われるんでそんな気分になっていく。
でもここ屋久島南国のはずなのに最高気温6度とは寒すぎる。
背中には2枚のホカロンが助けてくれている。
56キロあたりがてっぺんらしい。
それにしても坂がひたすら上るだけの坂が長すぎた。
やっとてっぺん。
お日さまはあるけれどさむい。
ここからはまっすぐ海のところまで12キロひたすら下っていくことになる。
下りは楽でいいけれどただただ下りばかりだとひざが痛くなってくるから刺激をあたえないように静かにおりていく。
続きは明日へ!
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