屋久島西部林道56キロあたりのてっぺんから海抜0めざして滑り台のような林道をまっすぐにまっすぐに3キロか4キロ下ってきた。
たまぁに車も通りすぎていく。
ピーピーっと細い声の鳥もそのへんから向こうへと声を聞かせていってくれる。
「わあすばらしいよ!すばらしい!あちこち行ったけれどこんないい景色みたことないよお!」
伴走者はそうとう感激している。
表現力がなくて残念だと言っていたけれど。
私たちが下っていくまっすぐな道の下のほうに海が見える。
3時ちょっとすぎだから薄い夕日のあかが海をそめかけている。
バチバチと左の奥からきこえて来るのは滝の音。
けっこうおっきそうだ。
その滝の水にも、うすい赤の光がはじかれてっというか染めているかと思えばそれがきらきら跳ね返している。
右側のは影の間からは種子島か何か分からないけれど島の影が見えている。
そしてまわりの葉っぱは亜熱帯風に濃かったり、薄かったりの葉っぱがいろんな形でうかびあがる。
このあたりの空気までうすい赤色に染まっているんだろうか。
私たちはその赤い色を濃くしていこうとしている海へ向かって下ってくだって走り降りていく。
孫ちゃんたちがもう少し大きくなったら連れてきてらけたいなと思っていたら
「ここは若い恋人たちには最高のところだなあ!」
と、伴走者は言っている。
そっか若者たちか。
私は薄あかの空気を胸いっぱい吸い込んでみた。
ロマンティックな場所は酸素がおおいようだ。
いつにか家族を連れてきてあげたい。
右ひざが痛くなってきた。
もう3キロ。
おりたらエイドがあるからコーヒーをもらおう。
すてきな景色とはこうしてお天気と時間とがほどよくまざりあって作り上げられていくものなんだと気がつくことができた。
ここの下りは午後3時からが最高の景色につくりあげられていくんだ。
景色を実際には見えないけれど、その美しさを伝えてくれているその言葉がこうして私の景色へと変換されていく。
うまく伝えられないよっというそのもどかしさが私にとっての最高のけしきになっていく。
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