2018年3月28日水曜日

ひっつきむし

「ちょっとまって。」

公園の外周の歩道を
一緒に走っていた伴走者が
屈み込んでしまった。


「どうしたんですか?」

「えっと。ほらこれ。」

私の手を持って触らせてくれたのが
伴走者の左の足。

「うわあ。き、き、気持ち悪っ。
なんですか?これ?」

左足の膝の少し上から
靴の先までびっしりと
1センチ弱の細い草だか
種がかがくっついている。

こちらの田舎では
ひっつきむし
っと呼んでいる。


泥棒草とも言っている。

とくに足の外側をパンパン
叩くぐらいでは落ちない。

落ちてはくれない。
ランニング用のタイツに
びしり刺さっている。

私はしゃがみこんで
1本ずつ刺さった草だか
種だかを引っ張って抜いていく。

靴の紐にまで刺さっている。

靴の上部全体も
ちくちく種子だらけ。


気持ち悪い。


歩道の内側に
背の高い雑草が生えていて
歩道の方まで倒れこんでいた
とのこと。

走りながら
左側の足で雑草たちと
こすれあっていたからだ。

抜いても抜いても
細くて小さな種子は残っている。


南アフリカには
ライオン殺しっという
こんな風な種子があるらしい。


ライオンの体にくっついた種子を
ライオンが口でとろうとすると
その種子が今度
口に刺さってしまう。

その種子には返しが
ついているから抜けない。

結局あちこち体を自分で噛みまくり
口にも種子が刺さりまくって
そこらじゅうが化膿してしまって
死んでいってしまうんだそうだ。

恐ろしい。

私はひっつきむしを抜きながら
ライオン殺しの種子でなくて
良かったっと思いながらも

もうここは走らないことにしよう
と思った

私はただただ気持ち悪い
っと思っていただけだけれど

これがアイデアのきっかけとなって
マジックテープを開発した人も
いるのだから面白い

「もう大丈夫。」

伴走者はそう言うけれど
まだまだひっついている。

気持ち悪い。
この草たちの生命力はすごい。

一人で走っているなら
こんなことにはならなかったのに。

二人で狭いところ
走っていくもんだか
こんな事になってしまった。

雑草でいっぱいの歩道は
気をつけなきゃいけない。

本当にびっしり芝生のように
刺ったひっつきむしは
気持ち悪かった。

本当に伴走者の方には
悪いことをしてしまった。

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