2018年3月29日木曜日

座敷牢

座敷牢なんて言葉
知らなかったのだけれど
私が盲学校高学年の時に
二十歳過ぎた体の小さな
全盲の女性が商学部3年生に
入学してきた。

その人は寮にも入ることになって
私と同室だった。


この二十歳過ぎるまで
ほとんど外に出ることが
なかったという。

狭い畳のお部屋に
ポータブルのトイレと
ラジオだけがあったと言う。

家族はみんな親切
よく声を掛けてくれていたらしい。

目が悪いから
お箸が使えないから
っと言うんでいつも
おにぎりかパンを
食べていたという。

一番好きなものは
ピーナツバターのパンと
のりたまのおにぎり。

で、嫌いなものはとんぼ

「どうしてとんぼ嫌いなの?」

「とんぼはブンブン怖い音して
噛み付くから怖いし嫌い。
世界で一番怖くて嫌い。」
っと言っていた。

彼女の手や足は
赤ちゃんの肌のように
薄い皮膚でふわふわ
つるつる綺麗な肌をしていた。

足なんかすっごく小さくて
靴は子供のそれのようだった。

布を巻かれていた訳でもないのに
纏足みたい

ラジオをよく聞いているので
芸能ニュースには詳しかった。

私は上の先輩たちから
彼女は座敷牢に
閉じ込められていたんだ
と聞いた。


兄弟が結婚する時は
分からないように

障害者がいるってことが
分からないように
隠されていたんだそうだ。


私は以前
中野区の総合病院に
勤めていた時にも

19歳の時からずっと
この部屋のこのベッドにいるの
っと言っていた
全盲の50台後半の女性がいた。


彼女の場合は約40年も
ベッドの家で過ごしてきたんだ。

病名は目が見えないこと。
私と同じ。


家族。
特に親の考え方ひとつで
同じ全盲の女子
平和な日本でさえも
こんなにもの差があったんだ。

目が見えないと
家を飛び出してやるうー
っと行動に出ることもできない

今現在
こんな境遇にある人が
一人もいないことを
願っています。

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