ビックサイトは
女の子達で溢れかえっていた。
とにかくものすごく広い。
この中が四つに分けられていて
葉書に記載された番号に沿って
オーデションブースを
見つけなくてはならない。
周りはドレス着ている子や
ふりふりのスカートで
おめかしした子ばかりらしい。
2、3日前に
オーデションの葉書が家に着いた。
モーニング娘。の姉妹グループだとか
なにかはっきりは覚えていないのだけれど
オーデションがあると聞いて
勝手に申し込んでおいたとのこと。
「
もちろん私は仮病をつかって
仕事休んでついて行った。
行ってみたかったから。
作戦はどうせみんな
おしゃれしてくるからね。
逆にね。
ショートパンツで
長い足を強調して
そんでTシャツ。
キャップ被って。
ハツラツと。
運動神経抜群。
そういうのでいこうよ。
これからドレスなんて
買いに行けないし。
目を引いてもらえるよ。」
オーデションが始まった。
最初、2万人だか
2万5千人だとかの女の子達。
最初のテストが終わって
広い会場に戻ってくる。
しばらくして
「発表しますので
スクリーンに番号を出します。」
っとアナウンス。
どわあっと
大声があがり
みんなスクリーンの方へと走っていく。
「お母さん!見てくるから!
ここで待っててね。」
少し遅れて3女は走っていった。
私の胸までどきどき。
「お母さぁん。あったよぉ。
あったよぉ。受ってたよぉ。
一気に1万2千人くらいに絞られた。
「おじさんが座っている
テーブルの前で横顔見せただけ
それでおでこ見せてって言われたから
キャップ脱いだの。」
ふーん。面白いテスト。
次は何かな? 「
次は歌を唄うみたい。
2回目のテストが終わって
またアナウンス。
「お母さぁん!あったよ!
あったよ!受かってたよぉ。」
息をはずませ走ってくる。
そんな具合に何回かの
簡単なテストがあって
最後の20人まで残ってしまった。
途中、外のお店で
ハンバーガー食べながら
ね。もし、本当に最後まで
受っちゃったらどうする?
どうしよう。
膝ががくがくしているよ。
何の歌うたったの?
夏休みって曲。
おじさんの前で
ほんの少しだけだけどね。
あとは歯を見せて
って言われたよ。
いよいよ午後。
人はずいぶん少なくは
なっていたけれど
いろんなグッズも売っていたり
プロモーションっていうのが
流れていたこともあって
人はずいぶん多かった。
これで受かったらテレビでの
生オーデション。
どきどき。
「保護者の皆さんは
こちらでお待ちください。」
3女は私を係の人のところまで
連れていって、
お願いします!っと言って
走っていった。
じろじろ見ているのが分かる。
何やらひそひそ声も
聞こえてくる。
気にしない。
気にしない。。
パイプ椅子に座りながら
どきどきする胸を抱いていた。
いよいよ。
最後の最後の発表。
すっかり夕方になっていた。
この20人の中から半分の
10人がテレビでの
公開オーデションにでれる。
もし本当に受っちゃったら
どうしよう。
行っちゃうのかな?
家族で東京へお引越しかな?
「お母さぁん。番号なかったよ。」
二人で良い夢を見させてもらえた
1日だった。
もう15年も前の本当のお話。
帰りはほっとして
お姉ちゃん達へのパンとか買って
生ジュース飲んだりしながら
帰っていった。
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