2018年3月8日木曜日

佐賀県のおにぎり

水着の着替えが
男子更衣室で出来た頃なので
2年生位までだったか。

休日、父は夏になると
私と弟を隣町にあるプールへ
タクシーで連れて行ってくれた。

ただ四角のプールだけで
学校のそれと変わりはない。

プールでは、浮き袋に掴まって
バタ足をしたりで
大したことはしていなかった。

父は泳ぎが上手だったけれど
教えてくれるようなことはない。


お昼になると
父は更衣室から
お弁当を持ってきた。

父が作ってくれたおにぎり。

生まれが佐賀県の父は
円錐形の形のおにぎりを作って
それにお味噌を
まわり中につける。

食べる時には
手が汚れるので
のりをななめに
うまいこと巻いてくれる。

おにぎりの花束のようで気に入っていた。

飲み物は朝
母が作っておいてくれた
砂糖いりの麦茶。

水筒のコップに入れてくれて
それを飲んだ。

周り中では、蝉たちが
じーじーみーみー賑やかだ。

プールサイドのタイルの隙間には
草が1列に伸びている。

足裏には、ごみがたくさんくっついてくる。

佐賀県では円錐形のおにぎりが普通らしい。

変わっているから
私も子供たちに握ってあげよう
と何度か試みたんだけれど
うまくいかなかった。


今日は父の誕生日だったので
円錐形のお味噌のおにぎりを
思い出してしまった。


ギャンブルに狂っていて
お酒に溺れていて
喧嘩ばかりしていた父だけれど


おにぎりをたくさん作っていてくれた父だった。

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