長かったかな?
友達の紹介で買った
とても高価な鍋。
少しの水でも
野菜が茹でられるとか
温度が高くなるので
ダッチオーブンみたいに
ケーキだって焼けるとか。
私は教えてもらった様に
1センチほどの油の中に
鶏肉をいくつか入れて
蓋をして、裏返すまでの
少しの時間を待っていた。
蓋をする事で
圧力がかかるので
ジューシーに
しかも早く加熱されるとのこと。
少しの油でも揚げる事ができるから
盲人向きだねっとも言われていた。
そろそろかな。
っと重たい蓋を取った。
ボンっ!
ぼぼー!ぼぼー!
恐ろしい音がして
目の前に熱い炎が上がった。
心臓にも火がついた。
思わず後ろに下がる。
すぐ後ろで遊んでいた
6歳、7歳のお姉ちゃん達は
ぎゃあっ!と言って
玄関から飛び出していった。
ただ下の子3歳は
悲鳴をあげて私の足にしがみついた。
「お外に行ってええ」
私の叫び声にも火がつく。
ぼぼーぼぼー
炎がどこまで上がっているのか
壁にも移っているのか分からない。
このままじゃだめ。
なんとか勇気出して。
私は水道の水を全開にして
ジャージャー流しっぱなしにした。
3歳はがっちり足に
しがみついているままだ。
炎の上がっているガス台と
水まではまな板一つ分。
わたしはその鍋の長い取手を
持ち上げた。
炎がこちらに倒れこんでくる。
顔が焼ける。
油が向こう側に行くように
取手を持ち上げて
流しのシンクの中に投げ入れた。
ジュッ。ジュッ。
ジャージャー。
ピチピチ。ピチピチ。
私は3歳の子に
覆い被さりながら玄関へと走った。
と言っても5、6歩。
3歳を抱いて、玄関の扉を開け
体で扉を押さえ付けながら
中の様子を聞いていた。
炎が部屋に燃え移って
炎が噴き出してきたら
扉を閉めてこの子を抱いて
1階まで階段を降りて
「火事だ!」と叫ぼう。
2階で良かった。
階段の下でお姉ちゃん達が呼んでいる。
膝はがくがく。
心臓はどきばくどきばく。
しばらく立ち続けていたけれど
水の音がするばかりで
こちらに炎がやってくる
様子もないようだ。
油に火が入った時には
布団を被せるといい。
っと言う。
そう言われればそうだった。
だけれど、炎上がっているのに
押入れまで取りになんか行けない。
車が事故にあうと
エアーバック。とか言って
大きな風船の様なものが
ボンネットから飛び出てくるそうだ。
だからキッチンにだって
ガス台のぐるりの壁。
炎を感知したら
壁が溶けるか
外れるかして
布団がバサァー。と
被さってきてくれたらいい
と思う。
その後から換気扇の脇から
水がシャーっと出てきたらいいのに。
ハウスメーカーの皆さん
考えてもらえないかしら?
おそるおそる
キッチンに行ってみたら
床が油でつるつるしていた。
油が水と一緒に飛び散ったんだ。
子供に火傷させなくて良かった。
炎を見て逃げて行ったお姉ちゃん達
炎から逃げることが瞬時に出来てよかった。
逃げて素晴らしかった!と
よくよく褒めてあげたんだ。
それ以来ガスが怖くて
当時30万円位もしていたIH買ってもらった。
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