大型ゴキブリ

6軒つづきの長屋。

かっこよく言えば
テラスハウスと言うらしい。

うちは道路側から5軒目。

道路側から
中華屋さん
やきとり屋さん
スナック。

奥3軒が一般家庭。
何しろ駅まで3分。

車に乗れない全盲夫婦には駅近くは大事。

そんな訳で
夜ともなると
ゴキブリ達のたくましい足音が
冷蔵庫の上やら下やらで
カサコソ聞こえてくる。

食べ物の容器の蓋はきっちりと閉めるようにしていた。

ゴキブリ達の活動が活発なってきたんでバルサンを焚いてもらった。

この時は母に掃除を手伝ってもらった。

こちらのゴキブリ達は体長が5センチ程もあるという。

本当かな？

背中はツヤツヤ
油がのって立派らしい。

大量のゴキブリ達が部屋の真ん中に出てきて倒れている。

母は虫なんかへっちゃらなんで何とも言わずに

「でっけえんがいるんなあ。
おれんちの方じゃこんなのいねえで。

ラーメン屋があるからよ。
めんこでももらって食っていたんだんべ。
ちっとんべ（ちょっと）触ってみるかよお？」

冗談じゃない。

母はビクともせずに片付けていってくれた。

次の日だったか
隣の奥さんから
「昨日お宅でバルサン焚いたでしょ？
だからうちへゴキブリ達が非難して来ていたわよ。

いっくらバルサンしたって
下水かなんかが繋がっているから無駄よ。

でも明日うちもバルサン焚きますからお宅のゴキブリさんお帰りになると思いますよ。

おっほっほ。」

なーんてふざけて笑っていたっけ