2018年5月12日土曜日

雑巾

まだ3女が赤ちゃんの頃だったから
浦和の団地に住んでいた。
 
キッチンはガス。

その日はホットケーキを
焼いていた。

結構、私はホットケーキが
上手に焼くことが出来る。

というのも、学生の頃
ホットケーキをどうしたら 
丸く焼けるのか?
と、お料理の上手な先生に聞いて
直々に教えてもらえたからだ。

温めたフライパンを
濡らした雑巾の上に置いて

じゅーっ

言わせたら
ゆっくりタネを流し入れる。

この時がポイント。
姿勢が大切。


深めなお玉にどろどろ液を
すくい入れたら

液だれしないように 
ボウルの淵で軽くとんとんと
ぶつけておく。


そしたら
フライパンの柄を確認して
フライパンの真ん中あたりで 
お玉を斜めに傾ける。

ここが肝心。

この時、脇を絞めて 
斜めに傾けたお玉
これをこの位置から
1ミリも動かさない覚悟。

ちょっと手首曲がったまま
しばらく動かず
じっと。じっと。 
その姿勢をキープ。

腕が疲れても
60ゆっくり数える。

そしたらお玉をボウルに戻す。

そして蓋をして2分弱。

良いにおいがしてくる。

途中、触りたくなっても
触れてはいけない。

弱火で弱火で
ゆーっくりと焼いていく。

良い匂いがしてきたら蓋を外して
フライ返しの角っこを
そおっと 
フライパンの底から滑らせて
ホットケーキの生地に触ってみる。

固く焼けている底面が分かるはず。

そこで
ぐっ!とフライ返しを
静かに差し込んだら上手に乗っかってくる。

そしたら勢い付けて 
ほいっ!と裏返してフライパンに落っことす。

こうするとリングを使わなくても
割と良い丸い形で焼けてきてくれる。

なんか焦げ臭い。。。
嫌なにおい。。

あれ?
急いで火を止める。

何枚目かを焼いている時
嫌な匂いがしてきた。

心臓がドキン!という。
 
ガス台の周りを探ってみる。
 
ビニールの袋やら箱なんかは
きちんと片づけておいたはずなのに。 


流し台の上には
ボウルとお皿しかないはず。

おかしい。


あっ。ない!!
濡らしておいた雑巾がない!

まさか!!
雑巾が燃えているんだ。


流しの水を
じゃーじゃあー
出しておく。

どんな状態だか分からないけれど
炎が上がったら怖い。

フライパンを持ち上げて
流し台に放ってしまおうとした時

重たくなんか引っかかっている。

ガタン!

五徳が外れたようだ。

きっと雑巾が五徳に
引っ掛かっていたんだ。

足元に落ちなくて良かった。

暑いから触るわけには
いかないし。

水で冷やされたフライパンを
触ってみたら
焼きかけのホットケーキは
ぐちゃぐちゃ。

これはいいけど。

雑巾の3分の2ほど
焼けてしまった後に残された
何本もの紐状になった物が
フライパンの底に張り付いていた。


まだ燃えていなかった部分も
張り付いている。


フライパンの底を冷やしてから
五徳に戻す時
雑巾がくっ付くから 
ちゃんと端っこを抑えていたのに
うっかりし忘れてしまったんだ。


私は粗忽ものだし
慌て者だから本当に危ない。

ちょっとしたうっかりの事で
大きな事故にしてしまうかもしれないんだ。

当時とても高価だったIHヒーター
買ってとおねだりしたのだけれど 
団地では実現させることはできなかった。


それから引っ越ししてからは
ずっとIHヒーターだから
あの時のような心配はなくなったから
ぼんやりしていても
まあ安心になった。 

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