2018年7月21日土曜日

写真

「写真とりたいんですけれど、良い所ありませんか?」
 
『え?写真って?全盲じゃなかったっけ?』


「そうだよ。だけど写真撮るのが好きなんだよ。
結構上手に撮れてるって言ってもらえているんだよ。」

彼は一緒に歩いていたガイドの人と
奥の方へ写真を撮りにへ行く。 


「この辺り、キレイな夜景だよ。本当にキレイだよ。
その辺りがいいよ。」

走る仲間達と、香港マラソンに行った時のこと。

観光でビクトリアタワーへ行って、世界3大夜景と言われている
展望台へ行った時のこと。


全盲の彼に見せてもらったら、
手の平に乗るようなマイカメラを持っていた。 
キレイに撮れたものは、紙に焼いて、
アルバムにしているんだそうだ。 
写真の裏には簡単な説明と、写っている人の名前は忘れずに書いているとのこと。
 
「写真に撮っておくとさ。 
こういう場面のことを忘れずにいられるんだよね。
俺たちってさ、写真見れないからさ、
色んなこと思い出させることできないじゃん。」


ふーん。そっか。

そう言われればそうだ。
アルバムを見ながら、思い出に浸るなんて出来ない。

彼は見えない風景を写真に撮っておくことで、 
この場のことを記憶として脳に焼き付けているんだろう。

彼は中途失明しているけれど、
目が見える頃は、カメラマンになりたかったって言っていたっけ。
 
彼の写真を、モニター見ながらガイドさん達が言っていた。 

「ブレも無いし、良く撮れているなあ!すごいなあ。」 

0 件のコメント:

コメントを投稿