『え?写真って?全盲じゃなかったっけ?』
「そうだよ。だけど写真撮るのが好きなんだよ。
結構上手に撮れてるって言ってもらえているんだよ。」
彼は一緒に歩いていたガイドの人と
奥の方へ写真を撮りにへ行く。
「この辺り、キレイな夜景だよ。本当にキレイだよ。
その辺りがいいよ。」
走る仲間達と、香港マラソンに行った時のこと。
観光でビクトリアタワーへ行って、世界3大夜景と言われている
展望台へ行った時のこと。
全盲の彼に見せてもらったら、
手の平に乗るようなマイカメラを持っていた。
キレイに撮れたものは、紙に焼いて、
アルバムにしているんだそうだ。
写真の裏には簡単な説明と、写っている人の名前は忘れずに書いているとのこと。
「写真に撮っておくとさ。
こういう場面のことを忘れずにいられるんだよね。
俺たちってさ、写真見れないからさ、
色んなこと思い出させることできないじゃん。」
ふーん。そっか。
そう言われればそうだ。
アルバムを見ながら、思い出に浸るなんて出来ない。
彼は見えない風景を写真に撮っておくことで、
この場のことを記憶として脳に焼き付けているんだろう。
彼は中途失明しているけれど、
目が見える頃は、カメラマンになりたかったって言っていたっけ。
彼の写真を、モニター見ながらガイドさん達が言っていた。
「ブレも無いし、良く撮れているなあ!すごいなあ。」
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