2018年9月7日金曜日

いんこ

父が脳卒中で入院していた
国立病院まで電車乗り継いで
お見舞いにいった。
 
父は6人部屋ではあったけれど 
広々としていて
おひさまもいっぱいで 
明るそうな良い部屋だった。


「ぎゃあー!ぎゃー!
おーい!つれてけー!ぎゃー。。。」


父の部屋についたときから
合い向かいのベットの男性が
ひっきりなしに大声をあげていた。


「ありゃーよ。いんこだからよ。
鳴いてんだよ。
いんこじゃ、しょうがねえだんべ。」


本当にすごい声だった。
体力も相当いることだろう。

看護婦さん達も
何も言いにはきていなかった。

甲高く叫ぶ声は
いんこと言われれば
そんな気もする。

病気なんだからしかたない。

父達5人の人たちは
いんこが騒いでいると言って
みんな静かに横になっていた。

哲学者ソクラテスは
奥さんから呼ばれて
返事をしなかったと言うので
ケツの水いっぱいを
頭からかけられたと言う。

「どうして奥さんに文句いわなかったんですか?」
と聞かれて

「ねえ。君。
ガチョウが水をかけたからと言って
ガチョウに文句を言うかね?」
と言ったそうだ。

父は50歳で寝たきりになって
30年もその生活を余儀なくされていた。

ソクラテスと同じこと言っていた父は
もしかしたら哲学者になっていたのかもしれない。

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