2018年11月16日金曜日

生きててよかったあ

「オラァ幸せだぃなぁ〜 
こうやってよ、おめえ(私の事)や孫たちとよ 
温泉に浸かれるんだでぇ〜 
いつ死んだっていいでぇ。 
ああ〜〜気持ちが良いやぃなぁ。」 

もう死んでしまった母は 
お風呂が大好きだった。 
子供たちが車を運転出來る様になってからは 
近くのお風呂屋さんによく連れて行って貰った。

隣町にいい源泉のお風呂がある。
そこには「寝湯」と言って
木を枕にゴロリと寝て入るのもある。 

タオル1枚をお腹に乗せて
ひんやりの空気をお布団にして 
10cm程の湯の中で、
うつらうつらとする。 

「ああ子供達とこうして 
お風呂に入っていられるなんて 
本当に気持ちが良い幸せだなぁ。 
もういつ死んだっていいなぁ。」

母と同じ事を言っていた。 
3人の娘達も、あと40年もしたら 
同じ事言っているんだろうなぁ。 

大きなお風呂って、
体を温めてくれるだけじゃなくって 
生きていると言うことを思い出させてくれる。

「あぁ〜紅葉しかけた葉っぱが、 
向こうに見えてね、白い雲があっち。 
あぁ〜綺麗だなぁ。死んでいるみたいー」

寝湯に横になって、隣で3女が言っていた。 
今日は3人の娘たちと私の4人で、温泉に来ている。 

垢すりをして貰って、さっぱりした身体に 
夜風がひんやりきもちいい。 

これからサラダとケーキを食べに行く。
私達の大好物だ。

生きててよかったあ。 
目が悪くたって、生きててよかったぁ。
嫌な事もあったけれど、

本当に生きててよかった。

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