私『お母ちゃん。洪水ってどんなだったの?』
母「和泉屋ん家の向こうの踏切のこっち方に
越辺川があるだんべ。あれがよ、水吹くんだで。
全くよ。川の水がよ。日赤のこっちまで、
泥と、便所のうんこと、畳と、でっかいガスボンベとかよ、
皿でも鍋でも、とっ捕まえてくるんだで。
和泉屋ん家の壁なんか、腰ぐれぇまで、泥水が
来たんだで。跡が残ってんだで。
皆ん家はよ。戸を開けっ開きにしなくっちゃ
家ごと持ってかれちまぅからよ。
家ん中が、ひでえもんだで。」
私『じゃ、どうやって片付けたん?」
母「2階から見ててよ。水が引きにかかったらよ
みんなでホウキ持って家ん中の物をよ
外へ掃き出すんだで。
そんじゃなくっちゃ、てぇへんな事に
なっちまぁから、オレだってよ、
和泉屋ん家い行ったりよ、綿屋ん家に行ったりしてよ
水が引きにゃ、手伝ったんだで。
全くよ、死んだ猫だとか便所とか草履でも
布団でも米櫃だってあったんだで。
全くよ。洪水ってのは、おっかねえで。」
0 件のコメント:
コメントを投稿