2019年1月21日月曜日

洪水の話

私『お母ちゃん。洪水ってどんなだったの?』 

母「和泉屋ん家の向こうの踏切のこっち方に 
  越辺川があるだんべ。あれがよ、水吹くんだで。 
  全くよ。川の水がよ。日赤のこっちまで、
  泥と、便所のうんこと、畳と、でっかいガスボンベとかよ、
  皿でも鍋でも、とっ捕まえてくるんだで。 
  和泉屋ん家の壁なんか、腰ぐれぇまで、泥水が 
  来たんだで。跡が残ってんだで。 
  皆ん家はよ。戸を開けっ開きにしなくっちゃ 
  家ごと持ってかれちまぅからよ。 
  家ん中が、ひでえもんだで。」
 
私『じゃ、どうやって片付けたん?」
母「2階から見ててよ。水が引きにかかったらよ 
  みんなでホウキ持って家ん中の物をよ 
  外へ掃き出すんだで。 
  そんじゃなくっちゃ、てぇへんな事
  なっちまぁから、オレだってよ、
  和泉屋ん家い行ったりよ、綿屋ん家に行ったりしてよ 
  水が引きにゃ、手伝ったんだで。 
  全くよ、死んだ猫だとか便所とか草履でも 
  布団でも米櫃だってあったんだで。
  全くよ。洪水ってのは、おっかねえで。」

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