2019年2月3日日曜日

豆まき

もう半世紀も前のこと。 

盲学校の寮に住んでいた 
私たちの所へも、
舎監の先生が豆をまきにきてくれた。 

隣の部屋から聞こえてくる 
舎監の先生の声やら、盲友達の
キャアキャア楽しそうな声。 

「次はうちの部屋だねえ~っ」と、
みんなでウキウキしながら待つ。 

扉がガラリと開いて、盛大に豆がふってくる。 

私たちにめがけて、
なぜだか鬼のお面をかぶった、
鬼舎監から豆が撒かれてていく。 

私達、盲子供達は畳に這いつくばって、
手探りで豆を見つけていく。 

「あったよぉ!あったよ!」
「ここには5個もあったから!ほら、あげるねっ」 

12畳と広い部屋。 
腹ばいになって腕や足のももまでを使って
ズリズリと見つけていく。

「ほら!暖房機のほうにあるわよ!」
 
ヒョイッと部屋を覗いた寮母先生が教えてくれる。 
みんな匍匐前進で、そちらの方へと 
もぞもぞと進んでいく。 

「あったー!」・・ポリポリ。 
豆を噛む音がみんなの口の中から聞こえてくる。 

ああ節分だった。  

1 件のコメント:

  1. 豆10個あたりにつき、100円玉一個おりまぜてくれる鬼だったら、もっと歓迎できたのにね。笑

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